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地域枠の従事要件満たさない医師は専門医の認定をしない

【厚労省・医師専門研修部会】専門医機構は９月に臨床研究医コースを募集

　厚生労働省の医道審議会医師分科会の医師専門研修部会（遠藤久夫部会長）は７月17日、地域枠の従事要件を満たさずに専門研修を開始した場合、原則として日本専門医機構の専門医認定を行わない方針で合意した。
　大学医学部が特定の地域や診療科で診療を行うことを条件として選抜し、都道府県がその学生に奨学金を貸与する地域枠の仕組みでは、都道府県が指定する区域で一定の年限、医療に従事することで奨学金の返還が免除される。
　専門医研修制度の採用プロセスでは、地域枠で従事要件があるかどうかは応募時点で医師が自己申告するが、その仕組みは十分に機能していなかった。
　そこで、今後は都道府県の同意を得ずに、地域枠で求められる従事要件を離脱して専門研修を開始した専攻医について、原則として機構の専門医認定を行わない方向で合意した。
　厚労省は具体的な対応策として、専門研修システム登録時に医師本人の同意を得た上で、機構が都道府県に地域枠離脱に関する都道府県の同意があるかどうかについて確認することを提案した。
　もし専門研修を開始後に、地域枠離脱について都道府県の同意を得ていないことが判明した場合には、専門研修中に従事要件を満たす研修を行うよう、プログラム統括責任者が適切な指導と配慮を行うべきとした。
　厚労省は、今後、都道府県の意見を聞いた上で、機構に意見する見通し。
　委員からは、「約束違反は厳しく取り締まるべき」と厚労省の提案に賛同する声が上がる一方、「都道府県が同意せず専門医資格をとれなくなるのは大変なこと。都道府県が地域枠離脱に不同意とする判断基準も決めるべき」との意見もあった。

臨床研究医の40人はシーリング外
　日本専門医機構が専門研修制度に来年度から設置する「臨床研究医コース」について議論した。臨床医学の研究を行う人材を育成するプログラムで、初年度となる2021年度の定員は40名。各基本領域で最低１名とし、それ以上は応募者数に応じて配分する。今年９月上旬から募集を開始する予定。
　専攻医は臨床研修施設で、常勤で臨床専従勤務を２年以上行う必要があるが、それ以外の期間は大学院または研究所で研究を行う。
　研究開始後は労働時間の50％以上を研究に費やす。臨床研究医コース修了までは専攻医に給与が支払われ、身分が保証される。７年間の研修修了までに、専攻医は権威のある英文雑誌に第一著者として論文２本以上を発表しなくてはならない。
　臨床研究医コースで専攻医を採用し、実質的に臨床医を増やす「シーリング逃れ」が起きることを懸念する意見があった。これに機構の大川淳参考人は、「コースの途中で専攻医が離脱した場合、その責任病院は臨床研究医コースの募集は行えないようにし、一般の専門研修の定員も削減する。シーリング逃れは絶対に許さない」と回答した。
　厚労省は、臨床研究医コースについて「しっかりフォローアップし、慎重に地域医療への影響もみる」と述べた。