全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1021回/2022年11月15日号医師確保計画見直しの意見を大筋でまとめる

医師確保計画見直しの意見を大筋でまとめる

医師確保計画見直しの意見を大筋でまとめる

【厚労省・地域医療構想・医師確保計画WG】2024年度医学部入学定員数は現状どおり

 厚生労働省の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は10月27日、医師確保計画の見直しに向けた意見を大筋でまとめた。
 都道府県や二次医療圏の相対的な医師の多寡を判断するための医師偏在指標は、精緻化を図るため、複数の医療機関に勤務する医師の実態を反映させる。これまでは一人の医師は一つの医療機関に従事していると仮定していた。具体的には、三師統計で「従たる従事先」を記載している医師について、「主たる従事先」は0.8人、「従たる従事先」は0.2人として算出する。
 医療需要を算出するデータとなる受療率については、現状追認的に、受療率が高い県に多くの医師を配置してしまうことを避けるため、全国受療率を用いる。また、3年に一度集計する患者データは、新型コロナの影響を避けるため、2020年のデータは用いず、2017年のデータを用いる。
 これらに対し、全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は、医師偏在指標のさらなる精緻化とあわせ、適切な二次医療圏の設定の必要性を強調。一般的な医療が完結する範囲である二次医療圏が、地域によりばらばらで実態に合っていないことを問題視した。都道府県が、積極的に適切な二次医療圏の設定に取り組むことを求めた。
 目標医師数については、医師少数区域以外の二次医療圏において、原則、計画開始時点の医師数を上回らない範囲で設定する。ただし、医療需要が今後増加する二次医療圏に対しては配慮する。この場合、医師少数県以外の都道府県において、二次医療圏の設定上限数の合計が、都道府県の計画開始時点の医師数を上回る場合は、計画開始時点の医師数を下回る目標医師数を設定する二次医療圏も出てくる。
 これに関して、全日病副会長の織田正道委員は、今回の目標医師数の設定を厳格に適用することへの懸念を表明。「県庁所在地で大学病院があり、専門的な医療を提供する病院が集まる二次医療圏で、医師を減らすということになりかねない」と述べ、都道府県で実態に合った対応が行われるべきであるとした。
 医学部における地域枠・地元出身者枠の設定では、都道府県に対し、地域枠に加え、柔軟に運用できる地元出身者枠の恒久定員内への設置に向け、積極的に大学と調整を行うことを要請する。また、地域枠の医師がキャリア形成をしつつ、地域医療に従事しやすい仕組みを構築するため、都道府県が医療機関の指導体制を十分に把握することなどを求めた。
 2024年度医学部定員については、現状の臨時定員を維持し、医学部総定員数(9,420人)を上限とすることを決めた。2024年度の医学部定員は高校生への周知などのため、今年10月中には確定させる必要があり、今回は臨時定員の見直しは行わず、2025年度以降の医学部臨時定員を改めて検討する。

 

全日病ニュース2022年11月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 第 4章

    www.ajha.or.jp › about_us › pdf

    たが、各病院は点数の多寡だけで判断するのでは. なく、自院の将来ポジションを考えて進路を選択. していただきたい」と、会員病院に呼びかけた。

  • [2] 第8次医療計画の作成に向け検討会が初会合|第989回/2021年7月 ...

    www.ajha.or.jp › news › pickup › news03

    全日病副会長の織田正道委員は、「『地域医療構想ワーキンググループ』のヒアリングでも、コロナ患者を受け入れた病院では、ハード面では ... [3] 第7次 ...

  • [3] B、C水準の病院を指定する枠組みを大筋で了承|第950回/2019 ...

    www.ajha.or.jp › news › pickup › news13

    B、C水準の病院を指定する枠組みを大筋で了承|第950回/2019年10月15日号 HTML版。21世紀の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会が ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。