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ホーム全日病ニュース(2022年)第1021回/2022年11月15日号医療経済実態調査の実施に向け、コロナの取扱いなど議論

医療経済実態調査の実施に向け、コロナの取扱いなど議論

医療経済実態調査の実施に向け、コロナの取扱いなど議論

【中医協】有効回答率向上策では支払・公益側から厳しい意見

 中医協の調査実施小委員会(秋山美紀小委員長)は10月26日、2024年度診療報酬改定の参考資料となる医療経済実態調査の実施に向け議論を行った。
 前回の2020年度調査では、新型コロナの直近の影響を把握するため、通常の直近2年度の調査とは別に、単月調査を実施した。2020年度は新型コロナの感染拡大が医療現場に与える影響が日々大きく変化し、より直近の状況を把握する必要があったためだ。最近になって、予断を許さない状況であるものの、落ち着きをみせている。委員からは、今回は単月調査を実施しなくてもよいのではないかとの意見が出た。
 調査項目については、◇新型コロナの影響◇看護の処遇改善による効果◇委託費や経費◇薬局の機能に応じた経営状況◇保険薬局における医薬品の備蓄状況─の把握が論点となった。
 新型コロナの影響については、補助金の交付状況を把握するとともに、病院については、◇重点医療機関・協力医療機関の指定状況◇新型コロナ患者の受入れ実績◇これまでの院内感染の有無─を前回調査で調べた。今回調査では、簡素化の観点から、一部を見直す方向だ。
 10月実施の診療報酬による看護の処遇改善については、2022年2~9月までは補助金で手当てしているため、「医業収益」に計上されないが、「給与費」には反映されることへの対応を考える。委託費や経費の把握については、昨今の物価高を踏まえ、詳細な把握が望まれるが、回答する医療機関の負担との兼ね合いで慎重に検討する。
 保険薬局については、これまでの店舗数ごとの経営状況に加えて、機能の違いに応じて、◇地域連携薬局◇専門医療機関連携薬局◇健康サポート薬局の類型別の調査も行う方向になった。保険薬局の調査では、一般用医薬品(OTC 医薬品)の備蓄品目数を把握することも論点となっている。
 データの信頼性を担保するため、医療経済実態調査の有効回答率の向上が課題となっている。これまでも継続的にさまざまな取組みを図ってきたが、病院も一般診療所も有効回答率が5割強にとどまり、抽出調査でもあることから、支払側と公益側から厳しい意見が出た。「抽出率と有効回答率を掛け合わせれば、実際に回答している医療機関の割合はとても低い」、「回答している医療機関に偏りがある可能性がある」などの指摘があった。
 2023年度の構築を予定している医療法人の経営情報のデータベースとの関連も議論された。支払側の委員の「全数データであるなら、こちらを積極的に活用すべき」との提案に対し厚生労働省は、医療法人のみのデータであることや、医療経済実態調査を補完するものとして活用するとの整理で検討が進んでいることを説明した。日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員も「補完的」に活用することを求めた。
 また、同日の総会で、入院・外来医療等の調査・評価分科会からの「令和4年度調査案」と、医療技術評価分科会からの「令和6年度改定に向けた医療技術の再評価方法」を了承した。

 

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