全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1021回/2022年11月15日号外来医療計画や5事業への対応方針を大筋でまとめる

外来医療計画や5事業への対応方針を大筋でまとめる

外来医療計画や5事業への対応方針を大筋でまとめる

【厚労省・第8次医療計画検討会】二次救急が高齢者救急の初期診療と入院治療を主に担う

 厚生労働省の第8次医療計画検討会(遠藤久夫座長)は10月26日、第8次医療計画の策定に向け、外来医療計画と5事業(救急、災害時、へき地、周産期、小児)への対応方針を大筋でまとめた。
 外来医療計画では、引続き現行の外来医師偏在指標の計算式を用いて、偏在状況を把握する。今後の外来需要の動向が地域により異なることを踏まえ、都道府県には、二次医療圏ごとの人口や外来患者数の推計などを踏まえた協議を求める。外来医療の体制整備にあたって、特に外来医師多数区域以外では、医師確保計画と整合性を取りながら進める。
 また、都道府県は、地域で不足する外来医療機能(夜間・休日の診療、在宅医療、公衆衛生など)の具体的な目標を定め、達成に向けた取組みの進捗評価に努める。外来医師多数区域における新規開業者に対しては、地域で不足する外来医療機能を担うことに合意が得られた事項に関して、地域の医師会や市町村と情報共有するなど、フォローアップを行うことを、新たにガイドラインに記載する。
 これらについて概ね委員の賛同を得た。ただ、全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は、各診療科の医師数の把握を含め、外来医師偏在指標を精緻にするための検討を継続して行うことを求めた。また、「情報提供により、新規開業を思いとどまらせようとしても、情報提供の段階ではすでに新規開業を決断し、手続きも進んでしまっている場合が多いので、もう少し有効な手立てを考えないといけない」と述べた。
 医療機器の効率的な活用に向けては、共同利用を促進するため、都道府県が医療機器の共同利用や画像診断の提供の有無の可視化などを進める。さらに、新たに医療機器を購入する医療機関に対しては、購入後の当該医療機器の稼働状況を都道府県に報告することを求める。
 これまでの検討会の議論で、病院団体の委員は、CT・MRIなどは二次救急を支える医療機関にとってはすでに必要不可欠で、価格も低下傾向にあると主張してきた。これを踏まえ、医療計画においては、地域の中での台数が多いこと自体を問題にするよりも、稼働状況などを把握し、効率的な活用が行われているかを確認できるようにしていく考えだ。
 5事業についても方針をまとめた。
 救急に関しては、第二次救急医療機関が、「地域で発生する高齢者救急の初期診療と入院治療を主に担う」と明確に位置付けた。全日病副会長の織田正道委員や日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、第三次救急医療機関と比較し、第二次救急医療機関には補助金などの支援が乏しいため、積極的な支援を行うことを求めた。一方、第二次救急の実績には新型コロナ対応を含め、医療機関によりばらつきが大きいとの指摘も出ている。このため、医療計画では、救命救急センターの応需率を指標に用いるとした。
 また、織田委員は、高次の医療機関からの患者を受け入れる「下り搬送」という言葉について、「『連携搬送』など上下関係の意味を含まない他の適切な言葉を考えてほしい」と要望した。

 

全日病ニュース2022年11月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。