全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2023年)第1027回/2023年3月1日号電子処方箋の導入に伴う補助金に関する要望書を提出

電子処方箋の導入に伴う補助金に関する要望書を提出

電子処方箋の導入に伴う補助金に関する要望書を提出

【医療関連団体】補助率の引上げ、事業額上限の引上げ、補助申請期限の見直しを要望

 全日病を含む医療関連団体は2月16日、電子処方箋導入に伴う補助金に関する要望書を加藤勝信厚生労働大臣に提出した。要望は3点で、①補助率の引上げ②事業額上限の引上げ③補助申請期限の見直し─となっている。電子処方箋の有用性を認めつつも、国による支援が不十分で、普及が進まない状況を指摘。電子処方箋導入に伴う補助金を拡充することなどを訴えた。
 要望書は、日本医師会、日本病院会、全日病、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国医学部長病院長会議、国立大学病院長会議、日本私立医科大学協会となっている。
 電子処方箋の運用は今年1月から始まった。患者の同意に基づく過去の処方・調剤情報のリアルタイムの共有や、重複投薬、併用禁忌の自動チェックが可能となることで、従来以上に正確かつ安心・安全な医療サービスの提供に寄与するものと考えられる。医療関連団体としても、その普及・啓発に取り組んでいる。
 電子処方箋を導入する医療機関・薬局に対しては、医療情報化支援基金による補助金が整備されている。しかし、「補助率の低さ」、「事業額上限の低さ」、「導入期限(2023年4月以降は補助率がさらに低下する)」といった3つの問題があり、このままでは十分なインセンティブになり得ずに、普及が進まないことが想定される。
 電子処方箋の最終受益者は、より最適な医療を受けることができる患者であり、また、必要としない重複投薬の回避などにより、国民医療費の適正化を実現できる国であると考えられる。
 一方、医療機関側は、電子処方箋を導入しても収益増につながるわけではない。電子処方箋に限らず、医療DXを国策として推進するのであれば、現場のシステム導入や維持、それに伴い必要となるセキュリティ対策にかかる費用は、本来、国が負担すべきである。
 これらを踏まえ、電子処方箋導入に伴う補助金の拡充として、以下の3点を要望した。
①補助率の引上げ
②事業額上限の引上げ
③補助申請期限の見直し
 要望の詳細は次のとおり。
(補助率の引上げ)
 補助率は、2023年3月31日までに電子処方箋を導入した場合には、病院が3分の1、診療所が2分の1、2023年4月1日以降に導入した場合には、病院が4分の1、診療所が3分の1となっており、医療機関側の負担が必ず発生する建付けとなっている。
 10分の10(いわゆる実費補助)とするのが、本来のあるべき姿であり、医療機関の自己負担ができる限り少なくなるよう、補助率の引上げを要望する。
(事業額上限の引上げ)
 今回の補助対象となる事業額の上限は、大規模病院が486.6万円、それ以外の病院が325.9万円、診療所が38.7万円となっている。
 この金額は、電子処方箋のシステムが明確化される前に実施したシステム事業者への聞き取り調査を参考に決めた金額とされている。
 その際、医療機関側が作業しなければならない工程が多めに設定されるなど、実態にそぐわない低めの金額が見積もられている。国として改めてシステム事業者に調査を実施し、実態を反映した事業額上限の引上げを要望する。
(補助申請期限の見直し)
 2023年4月1日以降の導入の場合、補助率が低減する。しかし、公表と同年度内の導入を求められても、そのための予算を確保することは困難な状況にある。
 現在、医療機関もシステム事業者も、電子処方箋の基盤となるオンライン資格確認の対応で余裕がない。システム事業者においても、電子処方箋対応のための開発や現場の受入れ体制整備が全く不十分であることは、全国4か所のモデル事業をみても明らかだ。
 2022年度内に導入できる医療機関は、ごくわずかであると考えられる。2023年度以降に導入する場合の補助率低減の廃止、もしくは低減するまでの期限の大幅な延長を要望する。

 

全日病ニュース2023年3月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。