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ホーム全日病ニュース(2023年)第1027回/2023年3月1日号2024年度改定に向け医療技術の評価方法を了承

2024年度改定に向け医療技術の評価方法を了承

2024年度改定に向け医療技術の評価方法を了承

【中医協】医療機器等の適切な技術料の評価を行うための方法も整理

 中医協総会(小塩隆士会長)は2月15日、医療技術評価分科会から報告を受けた「2024年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価方法等について」を了承した。2024年度改定で医療技術の保険適用や既存技術の再評価を行うための手続きや課題が示された。また、情報通信技術を活用した医療機器など従来の評価方法では、適切な技術料の設定が困難な事例が出てきていることを踏まえ、評価を審議する会議体を整理した。
 医療技術の保険診療への適用については、関係学会などからの提案書を受けて、厚生労働省が評価案を作成。分科会で議論し、議論の結果が中医協に報告される。その上で、診療報酬改定の議論の中で中医協が決定する手続きとなっている。先進医療の場合は、先進医療会議での科学的根拠などの検討結果の報告を分科会が受ける。
 2024年度改定の医療技術の評価は、基本的には2020年度、2022年度改定と同様の取扱いとする。評価の対象となる医療技術は、医科診療報酬点数表の特掲診療料第1部「医学管理」から第13部「病理診断」に該当する技術であり、医療技術としてアウトカムが改善するなどの有効性をデータで示すことができるものに限られる。
 また、薬事承認されていない医薬品、医療機器、体外診断薬を使用するものは、原則として分科会における評価の対象外とする。承認が見込まれるものは、2023年8月末までに確実に承認取得が可能な場合のみ、評価の対象となる。先進医療として実施されている医療技術については、2018年度改定以降の取扱いと同様に、分科会における評価の対象とする。
 2022年度改定で、DPCデータの検証を通じて、KコードとSTEM7の対応関係に、一定の評価結果と課題が得られた。これを踏まえ、厚労省行政推進調査事業「リアルワールドデータ(RWD)に基づく外科手術などの高度化・多様化する医療技術の評価及びRWDの活用に資する研究」において、研究を進めることになっている。
 具体的には、◇1つのK コードに対して、手術部位ごとにSTEM7が分類されている整形外科領域の一部の術式の体系化が可能と考えられたことから、整形外科領域の同様の術式についても検証を進め、2024年度改定でKコードの体系化を検討する◇DPCデータの麻酔時間を用いた現状の評価方法について、一定の限界も存在することから、さらなる評価方法の検討を進める─としている。
 今後のスケジュールとしては、2024年度に向け、学会などからの医療技術の提案書の受付けを今年2月中旬から開始し、6月上旬に締め切る。6月以降、提案内容について重複や薬事承認などの確認を行い、ワーキングループの意見を聴取した上で事務局が評価案を作成。評価案を分科会で議論する。
 学会などからの提案とは別に、分科会が指定する既存医療技術については、再評価の対象とする医療技術として、関係学会へ報告を求めることになった。分科会が指定した医療技術は、◇2022年度改定において対応する優先度の高いものとされた医療技術のうち、提案書の「ガイドライン等での位置づけ」の欄において、「ガイドライン等で記載あり」とされた医療技術(113件)◇2016年度から2022年度改定において、レジストリの登録を要件として保険適用された医療技術(35件)─。
 現行の診療報酬上の評価の観点から、臨床的位置づけや根拠の変化の有無などを記載する報告書様式が新設されたため、分科会が指定した医療技術について、学会から提案書を受けるだけでなく、分科会としても確認する手続きを経ることになっている。
 報告書のスケジュールとしては、2月中旬に受付けを開始し、4月下旬を締め切りとする。4月以降、厚労省によるヒアリングなどを行った上で、評価案を作成。分科会で議論を行う。

チャレンジ申請も踏まえた対応
 また、医療技術の評価においては、近年、情報通信技術など医療機器などに用いられる技術の多様化や、検査に用いられる測定方法の多様化により、類似する既存技術に対する評価との整合性などの観点から、適切な技術料の設定が困難なものが出てきている。
 例えば、医療機器の有用性のうち、製品導入時には評価できなかった部分について、使用実績を踏まえて保険収載後に再度評価を行うことができる仕組み(チャレンジ申請)がある。このチャレンジ申請は、保険医療材料等専門組織(保材専)での審議結果を踏まえ、技術料の具体的な評価を分科会で議論することになっている。
 しかし、技術料の設定・見直しを伴う医療技術に対する評価一般についての分科会と保材専の役割は明確になっていない。このため、チャレンジ申請での取扱いを踏まえ、画期的な医療技術・医療機器などの適切な評価を行うための審議の整理が求められている。
 このことから、今後の運用として、◇基本診療料の点数、算定留意事項または施設基準を変更するものは総会で審議する◇特掲診療料の施設基準を変更するものや、「医学管理等」に新たな技術料を設定するものなどは、分科会で審議する─ことなどを決めた。
 これらに該当しないもののうち、学会などから分科会に提案がなされた場合は分科会で審議し、製造販売業者から保険適用希望書が提出された場合は従前どおり保材専で審議する。当面の間、これらの運用を試行的に実施し、2024年度改定の際に必要な見直しを行うとしている。

 

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