全日病ニュース
不妊治療により2022年の先進医療の総金額が約1.5倍に
不妊治療により2022年の先進医療の総金額が約1.5倍に
【中医協】過去5年間の先進医療の実績報告
厚生労働省は2月15日の中医協総会(小塩隆士会長)に、先進医療の実績を報告した。過去5年間の実績をみると、2022年(2021年7月1日~ 2022年6月30日)の先進医療の総金額は約151億円で、2021年同時期の約103億円の約1.5倍となった。2022年度診療報酬改定で不妊治療が保険適用され、学会の推奨度が十分ではない医療技術が先進医療に導入された影響が大きい。
過去5年間の実績(右表参照)をみると、総金額は2018年(2017年7月1日~ 2018年6 月30日)が約285億円、2019年同時期が約352億円に対し、2020年同時期は約99億円で大きく下がった。これは、2020年度改定で先進医療Aから「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が除外された影響が大きいと考えられる。
2021年同時期は約103億円で、2020年同時期と大体同水準であり、2022年同時期に約151億円と対前年同期比で1.5倍となった。
2022年(2021年7月1日~ 2022年6月30日)の先進医療Aの費用をみると、総金額が最も高いのは、「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」(45億1,238万円)、次いで、「陽子線治療」(41億4,775万円)、「重粒子線治療」(18億8,893万円)。「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」は、胚を培養する過程を、培養器内のカメラにより撮影して観察し、正確な胚の評価を可能とする技術となっている。
なお、総金額とは、先進医療の保険外併用療養費の保険診療分と自費となる先進医療分を合算した金額である。
患者申出療養の実績報告
同日の中医協総会で、厚労省は、患者申出療養の実績も報告した。患者申出療養の2022年(2021年7 月1 日~2022年6月30日)の総金額も、約2.6億円と対前年同期比で大きく増加している(下表参照)。総金額が最も大きい患者申出療養は「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療(根治切除が不可能な進行固形がん)」の2億1,087万円で突出している。
1件あたりの患者申出療養は約32万6千円で他の患者申出療養と大差ないが、実施件数が250件で他の患者申出療養と一桁違う。理由の一つは、臨床研究中核病院である国立がん研究センター中央病院が協力医療機関と連携し、12施設で実施しており、実施医療機関数が多いことによる。1件あたりの患者申出療養では、「トラスツズマブエムタンシン静脈内投与療法」が約306万円で最も高くなっている。
全日病ニュース2023年3月1日号 HTML版
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