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ホーム全日病ニュース(2023年)第1039回/2023年9月1日号プラットフォーム上のWEBカルテを概説し2社が実演

プラットフォーム上のWEBカルテを概説し2社が実演

プラットフォーム上のWEBカルテを概説し2社が実演

【医療DX人材育成プログラム②】IT基礎については小林土巳宏氏が講義

 院内のDX化が適切に推進できるという時代の要請に各病院が適切に対応するために必要な院内人材を養成する目的で、全日本病院協会は、広報委員会を担当委員会とし、日本医療教育財団、介護・医療見える化・効率化協会と共催で、「2023年度医療DX 人材育成プログラム(全10回)」を開講した。今回は、第2回目の講習会の内容を紹介する。
 第2回講習会が、7月27日(木)13時〜 16時にZoomで開催され、132病院、317人が参加した。最初の総論講義(1)において高橋泰教授(国際医療福祉大学)は、WEBおよびプラットフォームの簡単な解説とプラットフォーム上で開発されたWEBカルテの説明を行い、WEBカルテを提供している亀田医療情報とヘンリーの2社が、WEB カルテのデモを行った。
 プラットフォームとは、ソフトウェアやアプリケーションを開発・実行するための基盤となる環境であり、図に示す、米IT(情報技術)大手の「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に最近ではマイクロソフトを加えたGAFAMが運営するプラットフォーム上で開発されたシステム(スマホのアプリなどを含む)が、世界のDX化を推進していることは間違いない。さらに図に示す中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)を加えた巨大プラットフォームの影響が年々大きくなっている。
 プラットフォーム上で規則(web)に従いサービスを構築すれば、世界中のユーザーにつながるので、世界中の技術開発が巨大プラットフォーム上の開発にシフトしている。今後ますます世界中の資金と人材と技術が、図に示す巨大プラットフォームに集中するだろう。プラットフォーム上で電子カルテの開発を行う場合、これまで開発してきたプログラムはすべて書き直しになり、日本の多くの電子カルテベンダーはまだ手を出していない領域である。しかしプラットフォーム上で電子カルテの開発を行うことにより、(1)電子カルテの価格を大幅に下げることができる、(2)モバイル対応である、(3)セキュリティーのレベルが高い、(4)容易に人工知能のサービスを利用できる、など多くの利点が生まれる。このような利点を、2社のWEBカルテの実演を通して受講者に実感してもらった。周辺機器との接続などまだ問題は多く、200床を超える病院や急性期医療を行っている病院では、時期尚早かもしれない。しかしWEBカルテを提供しているベンダーの開発速度は速く、今後WEBカルテに参入してくるベンダーも少なからず現れると思われるので、1〜2年で状況は大きく変わるであろう。
 後半の小林土巳宏氏( 株式会社MEMORI)によるIT基礎についての講義では、①クラウド、クラウド型プラットフォームサービス、②IoT、③ビッグデータ基盤、④AI、⑤マルチデバイス(i.モバイル、ii.タブレット、iii. PC)についての説明があった。特に①のクラウドの説明では、クラウド・コンピューティングの3種類の形態(1)SaaS(サース:アプリ提供サービス)、(2)PaaS(パース:開発環境提供サービス)、(3)IaaS(イアース:インフラ提供サービス)やガバメントクラウドなど、今回の講習会で最も重要となる概念を概説した。
 最後にオンラインを通して講義内容の振り返りテストを行い、第2回の講習会が終了した。

 

全日病ニュース2023年9月1日号 HTML版

 

 

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