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ホーム全日病ニュース(2024年)第1048回/2024年2月1日号「重症度、医療・看護必要度」のシミュレーション結果示す

「重症度、医療・看護必要度」のシミュレーション結果示す

「重症度、医療・看護必要度」のシミュレーション結果示す

【中医協総会】最も厳しい仮定では7対1病院の約2割が影響受ける

 厚生労働省は1月10日の中医協総会(小塩隆士会長)に、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、必要度)見直しのシミュレーション結果を示した。これまで議論してきた多くの見直し項目を反映させ、該当患者割合の基準を新たに設定。それを基に、4つの見直し案で医療機関への影響を試算した。基準を満たす医療機関割合の増減をみると、最も影響の大きい仮定では、急性期一般入院料1を算定する約2割の病院が算定できなくなるとの結果だった。最も影響の小さい仮定での試算は1.5%の減少となる。
 診療側で日本医師会常任理事の長島公之委員は、「さらに影響の小さい案を検討するべき。平均在院日数の基準は変更すべきではない」と主張した。

B項目を廃止し基準を変更
 「重症度、医療・看護必要度」は改定の度に、患者と看護職員の割合が7対1である急性期一般入院料1の適正化に用いられてきた側面がある。
 今回も入院・外来医療等の調査・評価分科会における詳細な検討を踏まえ、候補となる見直し項目が示されたが、過去と比べても今回は大きな見直し案となっている。背景には、2022年度改定で見直しを行ったにもかかわらず、急性期一般入院料1の届出病床数が微増したこともある。
 今回のA項目(モニタリングおよび処置等)、B項目(患者の状況等)、C項目(手術等の医学的状況)の必要度の見直し項目は、左表(上)のとおり、多岐にわたる。
 この中で、急性期一般入院料1を届け出る医療機関が必要度の基準を満たす上で、最も影響が大きいのが、「B項目および該当基準」であり、「該当基準のうち基準①(A2点以上かつB3点以上)を廃止する」ことだ。該当患者割合の影響は▲7.7%である。次いで影響が大きいのが、A項目の「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」の評価日数を1日とすることで、▲4.5%の影響がある。
 この2つは、いずれも今後急増する高齢者救急と関連している。
 B項目は、ADLの低下した患者に対する介護を含む看護の手間を評価してきた。高齢者の入院が増えるなかで、その必要性は増大している。しかし、一般病棟で最も点数の高い急性期一般入院料1の評価としては「妥当ではないのではないか」という論点をめぐってこれまで議論が行われてきた。
 A項目の「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」は、評価日数を過ぎると該当患者から外れる患者が多いというデータがある。救急搬送されたという理由だけで、急性期一般入院料1の病床に入院すべき患者と判断することは望ましくないとの判断が、見直しの背景にある。

基準値に区別を設けて試算
 シミュレーションは、見直し項目の多くを反映させた上で、「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」の評価日数を「1日または2日」とすることと、A項目の「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)の得点を「2点または3点」とすることの違いを設けた4案で行われた。
 さらに、B項目の廃止は、現行の基準①(A得点2点以上かつB得点3点以上)の削除につながる。ただ、「A項目2点」は、何らかの形で評価を継続すべきという意見が強く、基準自体の見直しも今回行うことになった。
 その結果、基準値を2つ設けることになり、基準②または基準③を満たす基準値に加え、基準②または基準③または「A項目2点」を満たす基準値を設けるとした。このため、シミュレーションの仮定では、前者の基準の基準値で15%と18%、後者の基準の基準値で24%と28%を置いた(2頁下図)。
 なお、基準②はA得点3点以上、基準③はC得点1点以上と定義される。
 シミュレーションの結果をみると、見直し項目では、「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」の評価日数を1日とし、A項目の「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)の得点を2点のままとし、基準値は18%と28%を採用する最も厳しい仮定において、基準を満たす医療機関割合の減少割合が19.7%で約2割であった。逆に、最も影響が小さい試算での減少割合は1.5%となっている。

診療・支払側の意見の相違大きい
 これらを踏まえ、長島委員は、「『重症度、医療・看護必要度』の見直しを機械的に行っても、それでは捉え切れない患者像が出てくる。実際の患者の重症度とは乖離してしまう可能性があり、十分な配慮が必要だ。今回のシミュレーションの結果で、最も影響が小さい仮定よりもさらに影響が小さい案を検討すべき。平均在院日数の基準は変更すべきではない」と主張した。
 日本医療法人協会副会長の太田圭洋委員は、「入院基本料は病院収入の根幹であるにもかかわらず、その判断基準が患者への医療提供の密度の濃淡によって決められ、医療機関の経営に必要な人的コストの分析がなされずに見直しが行われることは残念だ。コロナ特例・補助金もなくなり、病院経営は大変厳しい状況に陥りつつある」と危機感を示した。
 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、「7対1病棟を10対1病棟に移行させる案だと思うが、今は処遇改善を最優先に取り組んでいる。アクセルとブレーキを両方踏むのではなく、まずは処遇改善をやりその後に機能分化という順番が望ましい。見直すとしても、例えば2年間の十分な経過措置を設けるべきだ」と述べた。
 一方、健康保険組合連合会理事の松本真人委員は、4案のうち見直し項目で厳しい仮定を置いた案や基準値を2つ設ける新たな基準に賛意を示した上で、「急性期一般入院料1は病床数が微増しており、重点化が必要である」と強調した。また、平均在院日数は14日に短縮することを主張した。
 診療・支払側の両者の意見の隔たりは大きく、公益裁定に委ねる公算が高い状況となっている。また、同日は、急性期一般入院料2~5、特定集中治療室用、ハイケアユニット用の必要度のシミュレーション結果も示された。

 

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