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ホーム全日病ニュース第800回/2013年5月1日号基礎係数Ⅲ群のあり方で議論...

基礎係数Ⅲ群のあり方で議論。見直し否定論が大勢

基礎係数Ⅲ群のあり方で議論。見直し否定論が大勢

【DPC評価分科会】
少なからぬ委員がⅡ群・Ⅲ群の区別に疑問。Ⅲ群の結論は秋

 

 4月24日のDPC評価分科会は2014年度診療報酬改定に向けたDPC制度の見直しテーマの1つとして「医療機関群Ⅲ群のあり方」を取り上げた。
 この日は結論を出さない自由討議となったが、基礎係数設定におけるⅢ群のあり方は妥当と評価する声が多数を占めた。一部の委員は「Ⅲ群を再分化するなど、すべてを同じ係数とする現在の設定を見直すべきではないか」と主張したが、分科会の大勢は現行Ⅲ群を維持すべしという方向であった。
 調整係数の廃止に伴い、機能評価係数Ⅱでは評価しきれない部分を「基本的な診療機能に対する評価」とし、診療実績等の同質性から3つの群に分けてゲタを履かせる基礎係数は前改定から導入され、大学病院本院を医療機関群Ⅰ群とし、それに準じる一定の機能を有する病院をⅡ群として対象数を限定、それ以外の多くのDPC対象病院をすべてⅢ群とした。
 そのため、Ⅲ群には病床規模や診療特性などの面で非常に多様な施設が含まれたため、高次機能を有する専門病院やⅡ群に近似した診療実績をもつ病院などの取り扱いをめぐって、改定直後から見直しを求める意見が出ていた。
 Ⅲ群の見直しを主張する美原委員(公益財団法人脳血管研究所附属美原記念病院院長・全日病理事)は、「Ⅲ群は、大きな総合病院、高機能病院、それほど機能が高くない病院と色々な病院が混在している。中には、大学病院に準じる機能の病院があるかもしれない」として、新たな基準でⅢ群の病院を再分化することを提案した。
 事務局(厚労省保険局医療課)は、Ⅲ群の病院を、専門病院の類型(がん専門、専門、それ以外)と病床規模(200床未満、500床未満、500床以上)とに分け、それぞれを1日あたり包括範囲出来高実績点数で分布させた資料を提示したが、全体としてばらつきはそう大きくなく、カテゴリー間に新たな区分を設けるほど大きな違いは生じなかった。
 このデータに、美原委員は「専門病院の類型の取り方が適切ではない。例えば、複雑性や効率性などのアウトカムで比べるべきではないか」と疑問を示したが、他の委員からは「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ群という名称を考え直してはいかがか」「Ⅲ群でも、機能評価係数ⅡによってはⅢ群より高い医療機関別係数になるところがある」など、次元の異なる意見が相次いだ。
 一方で、「外科のスーパードクターがいるとⅡ群になる。かなり外科に引っ張られるのは事実だ」「連続性があるⅡ群とⅢ群を分けることにそもそも違和感がある」「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ群間の配分は適切とはいえない」「高度な手術の実施がⅠ群に準じるといったようにⅡ群の要件を少し整理してはいかがか」など、Ⅲ群を見直すにはいたらないものの、現行の基礎係数に一定の疑問をもつ委員が少なからずいることは事実だ。
 しかし、Ⅰ群とⅡ群については現行で次期改定に臨むことが決まっている。その中で、金田委員(社会医療法人緑壮会理事長)は、Ⅱ群の基準に「医師派遣の実績」を加えることをあえて提案したが、「医師不足の状況下ではなじまない」と反対される一幕もあった。
 Ⅲ群の見直し問題は今後も議論を継続、分科会の判断は今年の秋に打ち出されることになる。