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中医協総会/2014年度改定の議論:診療側 7対1特定除外制度の適用制限を提案。短期手術の全包括に難色

▲診療側は7対1特定除外制度の全面廃止に反対した

中医協総会/2014年度改定の議論
診療側 7対1特定除外制度の適用制限を提案。
短期手術の全包括に難色

厚労省 総合入院体制加算の「強化型」を提案。高度急性期病院の1つの姿か

 

11月13日●入院医療(3)― 特定集中治療室等急性期を担う医療機関の評価

【論点】
□急性期を担う病床・病棟の評価
◎特定集中治療室管理料(ICU)
・医師の複数配置、十分な病床面積の確保、臨床工学技士の24時間配置など、より診療密度の高い診療体制にある特定集中治療室に高い評価を行なってはどうか。
◎新生児特定集中治療室(NICU)等の要件緩和など
◎小児特定集中治療室管理料(PICU)の対象医療機関拡大□総合的に急性期を担う医療機関の評価
◎総合入院体制加算
・救命救急医療(第3次救急)として24時間体制の救急を行ない、精神病棟等幅広い診療科の病床を有し、人工心肺を用いた手術や悪性腫瘍手術、腹腔鏡下手術、放射線治療、化学療法、分娩件数等に一定実績をすべてもつ医療機関をより高く評価してはどうか。
・これら医療機関は亜急性期入院医療管理料と療養病棟入院基本料等の届出は不可としてはどうか。
【議論】
事務局(厚労省保険局医療課)は、(高度)急性期病院の集中治療室が届け出る3つの特定入院料(NICU、PICU、MFICU)を取り上げ、要件を強化して評価を引き上げる、あるいは対象を拡大するなどの見直し案をはかった。
 別途、ICUに関しては、より機能が高いユニットを一段高く評価する提案を行なった。
 さらに、総合入院体制加算に関して、これまで要件化されず「望ましい」とされていた、①人工心肺を用いた手術(年40件以上)、②悪性腫瘍手術(400件)、③腹腔鏡下手術(100件)、④放射線治療=体外照射法(4,000件)、⑤化学療法(4,000件)、⑥分娩件数(100件)等をすべて満たした病院は高い点が算定できる、と提案した(実績値はいずれも現行)。
 ただし、当該病院は亜急性期と慢性期病棟の届出は認められないとし、病院全体として急性期に集中させる方針を打ち出した。総合入院体制加算の届出は248施設(12年7月1日現在=特定機能病院や専門病院は算定できない)。
 宇都宮医療課長は「新たな要件を満たす病院は10ヵ所強である」と説明したが、「高度急性期医療」を担う病院の1つの姿を想定したものではないかとの見方もある。
 総合入院体制加算の「強化型」に対して、診療側万代委員(日病)は、「わずかしか取れない診療報酬をつくるよりも急性期医療の全体像を描くのが先ではないか。高度急性期だけでなく一般急性期も取れる要件であるべきではないか」と、同じく中川委員(日医)も、「改定でこういう(高度急性期の病院は亜急性期病棟をもてない)提案が先行するのはいかがか。機能分化が後追いすることにならないか」と批判。
 これに対して、宇都宮課長は「一体改革で高度急性期は18万床であるが、新たな提案は10病院強に過ぎない。医政局とは整合性を保っていきたい」と答えた。

11月15日●個別事項(1)がん対策等について

【論点】
◎がん診療
①来年度指定予定の「地域がん診療病院」「特定領域がん診療病院」および今年2月に指定済の「小児がん拠点病院」に対する評価を設けてはどうか。
②がん診療に一定経験と専門知識をもつ看護師と薬剤師がそれぞれ担う、がん患者に対する継続的指導管理の評価を新設してはどうか。
③外来化学療法について、皮内、皮下及び筋肉注射を除いた薬剤投与を重点的に評価するとともに加算の対象薬剤を整理・明確化する。併せて、在宅自己注射指導管理料との併算定を禁止してはどうか。
◎在宅自己注射指導管理料
①在宅自己注射指導管理料を注射の頻度に応じた評価体系に改めるとともに、薬事法上15日以上の間隔をあけるとされている薬剤の注射等は対象外としてはどうか。
②在宅自己注射に関する指導は導入初期と一定期間経過後とで評価を分けてはどうか。
③在宅自己注射の導入前に入院または外来、往診、訪問で医師が行なう教育について実施状況を文書等で確認することを要件に追加してはどうか。
◎ニコチン依存症管理料
①算定対象を定める要件を見直して若年層(20代)への治療を容易にしてはどうか。
②別途治療で入院中の患者に算定を開始できるようにしてはどうか。
【議論】
 「小児がん拠点病院」はすでに15医療機関が指定済。「特定領域がん診療病院」は全国で20病院と見込んでいるが、「地域がん診療病院」の数には「現時点では推定の域を出ない」との説明があった。支払側と診療側からは、特段反対する意見が出なかった。
 医師以外に、がん患者に対する継続的な指導を担う看護師と薬剤師に対する評価新設の提案に関してもとくに反対意見は出なかったが、一部に「薬剤師も必要か」との声もあった。外来化学療法については概ね賛成の方向だ。
 在宅自己注射指導管理料に関する見直し案に強い反対意見は出なかったが、診療側から、在宅自己注射に対する指導への評価を時間経過とともに引き下げもしくは廃止する案に「それは疾病によって分けるべきである」との異論が出た。
 ニコチン依存症管理料の見直し案に「喫煙治療は疾病か?」との声が複数から出たように、支払側からは消極的な反応がみられた。診療側は賛成と態度を表明した。

11月20日●入院医療(4)一般病棟入院基本料の見直し等ついて

【論点】
◎一般病棟入院基本料の見直し
(1)一般7対1要件見直しの経過措置を13年度末で廃止してはどうか。
(2)13対1・15対1の特定除外制度廃止は継続してはどうか。
(3)7対1・10対1の特定除外制度を廃止してはどうか。経過措置の期間をどうするか。
(4)短期滞在手術の包括評価
・治療方法が標準化されて短期間で退院可能な手術・検査を入院5日目までに実施した患者は全員短期滞在手術基本料の対象とし、平均在院日数の対象外としてはどうか。
・その場合、入院5日目までに手術・検査を行なったが退院が6日目以降になった場合には、6日目以降は出来高で算定。入院5日目までに手術・検査が行なわれなかった場合は出来高で算定してはどうか。
・短期滞在手術基本料3の対象2手術を含む合計19の手術・検査には、それぞれ全包括(1入院包括)という新たな評価を設けてはどうか(それ以外は引き続き短期滞在手術基本料の対象とする)。
◎診療報酬点数表における簡素化
・褥瘡患者管理加算の包括化は今後も継続。栄養管理実施加算の包括化は病院においては今後も継続してはどうか(有床診は別途議論)。
・入院基本料等加算を低い算定率から一律に包括化・廃止することは慎重にしてはどうか。
◎特殊疾患病棟や障害者施設等から療養病棟に転換した場合の経過措置
経過措置は13年度末で廃止、それら病床の機能見直しを継続的に議論してはどうか。
【議論】
一般病棟入院基本料の見直しについて診療側は(1)と(2)に賛成した。
(3)に関して、鈴木委員(日医)は「やむなく急性期に入院している高齢者には柔軟に対応するべきである」と述べ、特定除外制度の部分見直しであれば容認することを示唆した。
しかし、「(患者の受入先確保などで)個々に困る病院はあるだろう。しかし、それは経過措置で対応してほしい」という支払側の意見に、中川委員(日医)は「経過措置で済ませる考え方には反対だ」と不満を表明。
「見直し案は療養包括か出来高の選択制である。出来高になっても平均在院日数の確保は可能」とする医療課長の説明に、「それでは受け入れられない」と突っぱね、「特定除外制度の全面廃止ではなく、制限するやり方にしてはどうか」と提案した。
7対1における特定除外の廃止は引き続く議論となった。
(4)について、鈴木委員は「全包括」という点を取り上げ、「これはDRGであり、その影響ははかり知れない」と難色を示した。短期滞在手術基本料は引き続く議論となった。

11月22日●歯科医療等について

 この日は歯科医療の改定事項が議論されたほか、慢性期精神入院医療と認知症に対する医療等の13年度検証調査に関する速報結果が報告された。

11月27日●入院(5) 亜急性期病棟等について

2面に掲載。