全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース第814回/2014年12月1日号AMAT(災害時医療支援活動班)について...

報告/全日病の災害時医療支援活動―AMAT(災害時医療支援活動班)について:
各支部にAMAT活動の拠点病院。会員病院にAMAT編成を要請

報告/全日病の災害時医療支援活動―AMAT(災害時医療支援活動班)について:各支部にAMAT活動の拠点病院。会員病院にAMAT編成を要請

▲10月25日のHOSPEX公開セミナーでAMATに関する講演の座長を務める加納委員長(手前)。
講師は救急・防災委員会AMAT研修WGの布施明氏(日本医科大学付属病院高度救命救急センター)

報告/全日病の災害時医療支援活動―AMAT(災害時医療支援活動班)について:
各支部にAMAT活動の拠点病院。
会員病院にAMAT編成を要請

東日本大震災での活動を踏まえ、災害医療支援活動体制の見直しを図る

救急・防災委員会委員長 加納繁照 

 

報告/全日病の災害時医療支援活動―AMAT(災害時医療支援活動班)について:各支部にAMAT活動の拠点病院。会員病院にAMAT編成を要請

▲AMATの推奨ユニフォーム
(ベストとヘルメット=写真)は
AMAT研修で支給される

東日本大震災は、これまでに経験したことのない広域かつ巨大な複合連鎖災害であり、まさに未曾有の連鎖災害であった。それでも、この震災では、災害拠点病院に、当初よりDMATを含む多くの人材や物資が提供されたが、一方で、被災した民間病院に対する支援は十分に行き届かなかったのも事実である。
 そこで、民間病院相互の連携を更に強固にするべく、当協会は災害医療支援活動体制の見直しを図り、その一つとして、従来の医療チームの名称変更を行い、公益社団法人全日本病院協会災害時医療支援活動班=All Japan HospitalAssociation Medical Assistance Team、略してAMATと定めた。
 協会の各支部には「災害時医療支援活動指定病院(指定病院)」を指定し、さらに、指定病院の中から、災害時医療支援活動を中核的に行う「災害時医療支援活動幹事指定病院」及び当該病院を支援する「災害時医療支援活動副幹事指定病院」を設けた。
 指定病院は、災害発生時の情報を被災地から全日病本部に送ると共に、AMAT活動拠点の確保を担うことになる。
 AMATの派遣は概ね48~72時間以内を基本とし、長期間に及ぶ場合は2次隊・3次隊を追加派遣する。
 活動内容は、東日本大震災でDMATとJMATの間に生じた空白を埋めるべく、急性期から亜急性期に集中的に投入し、会員を含む主に民間の被災病院や避難所の支援と共に、ヘリ以外の方法による広域搬送も手掛けることを想定している。
 次にAMAT研修について説明する。
 本研修は、日本医科大学付属病院高度救命救急センターの布施明先生をはじめ、日本救急医学会の著名な先生方に協力を頂き、DMAT研修に劣らない素晴らしいプログラムを作成して頂いた。
 研修内容は2日間にわたり、「AMAT災害概論」「トリアージ」「情報通信」「関係機関連携」「災害要援護者」「病院支援、巡回診療」「筆記・実技試験」「派遣シミュレーション」等々であり、最後に筆記・実技試験を行う予定である。
 次に、AMAT隊員の登録、認証、更新等であるが、「AMAT隊員養成研修」を修了または同等の学識・技能を有するものをAMAT隊員として登録・認証する。
 登録者の資格更新は5年ごとに行われる。また、資格の更新要件については救急・防災委員会が定める事としている。このAMAT研修を受講された隊員には自院での啓蒙活動に日々注力頂きたいと思っている。

2月に第1回AMAT隊員養成研修を開催

 さて、当協会は、来年2月8・9日に第1回のAMAT隊員を養成する研修を企画している。DMATやJMATと連携し、DMATに準ずる医療チームの養成を目指すものであり、病院関係、医療関係の皆様には、ぜひ本研修にご参加を頂ければ幸甚である。
 災害時に1人でも多くの方を救えるよう、全日本病院協会は今後もAMATを発展させていく所存である。引き続き、ご支援の程宜しくお願いする次第である。

全日本病院協会 災害時医療支援活動規則(2013年11月1日修正/抜粋要旨)

●災害時医療支援活動を行う病院の指定等(第2条)
・都道府県支部に1つ以上の災害時医療支援活動を行う会員病院(災害時医療支援活動指定病院=指定病院)を置く。
・指定病院は医療支援活動の実績がある会員病院及び支部より推薦のあった会員病院とし、救急・防災委員会が選定し、常任理事会が指定する。
・支部には災害時医療支援活動を中核的に行う病院(災害時医療支援活動幹事指定病院=幹事指定病院)及び当該病院を支援する病院(災害時医療支援活動副幹事指定病院=副幹事指定病院)を置く。幹事指定病院及び副幹事指定病院は支部が指定する。
・指定病院がAMATを管理・調整し、当該施設内に災害時におけるAMATの活動拠点として使用する場所を確保する。
・AMAT(All Japan Hospital AssociationMedical Assistance Team)とは、災害時医療支援活動班のことを指す。AMATを有する会員病院はAMAT病院とする。
●AMAT運用体制の確保(第3条)
・救急・防災委員会は、支部、関係自治体、日本赤十字社支部、消防、警察、各種医療団体等と連携し、AMATの運用に関する事項を協議する。
・救急・防災委員会は、通常時にAMAT隊員の登録作業、登録証の更新作業、AMAT隊員養成研修及び技能維持研修の実施、並びにAMAT体制の維持及び発展等に関わる事務を取り扱う。
・前項のAMAT体制維持等のため、救急・防災委員会の下にAMAT研修ワーキンググループを設置する。
●指定病院に対する情報収集及び医療支援の指示(第4条)
・救急・防災委員会委員長は、災害救助法の適用が予想される自然災害が発生した場合は、当該支部の指定病院に被災地内会員病院の情報収集及び医療支援を行うよう指示する。
●委員長の派遣の上申等(第5条)
・被災地内の会員病院等に被害が発生していることが予想される場合、委員長は会長にAMAT派遣の上申を行う。
 会長は上申内容を検討の上、AMATの派遣を承認する。
●AMATの登録と編成(第6条)
・AMATは別に定める研修を修了した者及び同等経験を有する者を隊員として登録する。AMATの編成は、原則として、医師1名・看護師1名・業務調整員1名を最低単位とする。業務調整員は薬剤師、事務職員、メディカルスタッフを含む。
●被災地への移動手段(第7条)
・AMATの被災地への移動手段は、原則として、AMATの登録車両とする。
●AMATの活動範囲等(第8条)
・AMATは災害救助法第2条が適用される、①被災医療施設、②被災現場、③搬送基地、④医療救護所、⑤避難所、⑥その他、において医療支援を行う。
・AMATの医療支援は、①トリアージ、②傷病者に対する医療処置、③被災医療施設の支援、④搬送支援、⑤その他、とする。
●費用支給(第10条)
・この会は、派遣要請に基づくAMATの被災地活動に係る費用を、別に定める支給基準により、災害時医療支援活動支援金として支給する。

全日本病院協会 AMAT活動要領(抜粋要旨)

●基本方針(第2条)
・AMATは、災害の急性期、亜急性期に災害医療活動を行うことが出来る研修・訓練を受け、災害時要援護者にも配慮した医療救護活動を行うものとする。
●活動期間(第3条)
・AMAT1隊の活動期間は、移動時間を除き、概ね48から72時間以内を基本とする。
・AMATの活動が長期間に及ぶ場合は2次隊、3次隊等の追加派遣で対応する。
●AMAT隊員の登録・認証・更新(第4条)
・「AMAT隊員養成研修」を修了した者又はそれと同等の学識・技能を有するものをAMAT隊員として登録・認証する。
・AMAT登録者の資格更新は5年ごとに行われる。
●AMAT病院の役割(第6条)
・AMAT病院は、通常時にはAMATの派遣準備、研修・訓練に努め、災害時には被災地からのAMAT派遣要請に応じてAMATを派遣する。
●AMAT資器材の指定及び確保等(第8条)
・AMATの資器材は、AMAT研修修了者に配布するAMAT仕様のヘルメット、ベストを基本とし、必要に応じて、AMATの推奨ユニフォームを活用する。
・AMAT病院及び指定病院は、救急防災委員会が定める資器材等を整備するよう努める。
●AMAT研修・訓練の実施(第9条)
・AMATに参加する医師、看護師等に対する教育研修を推進するため、AMAT隊員養成研修及びAMAT隊員技能維持研修等を実施する。
●相互応援等(第10条)
・この要領はAMATの基本的な事項を定めるものであり、各支部等の自発的活動や相互の応援等を妨げるものではない。また、災害時に、AMAT隊員外の医療従事者等がAMATに合流し、医療支援活動を行うことを妨げない。
●AMATの派遣要請(第11条)
・被災地の会員病院等は、次の各号に揚げるいずれかの一に該当する基準に基づき、AMATの派遣を全日病に要請できる。略・幹事指定病院は、AMATの受入・派遣を調整する部署の設置を早期に行うよう努める。
●AMATの待機要請(第12条) 略
●被災地の幹事指定病院の業務(第13条)
・被災地の幹事指定病院は次の各号に揚げる業務を行う。略
ア 被災地で活動するAMAT及び会員病院等への連絡調整
イ 被災地の会員病院等の被災情報の収集
ウ 傷病者の搬送手段及び受入病床の連絡調整
エ 全日病、都道府県災害対策本部(派遣調整本部)、都道府県災害医療本部等との連絡調整
オ 地方公共団体、消防、警察、自衛隊等の関係機関との連絡調整
カ AMATの撤収及び追加派遣の判断
キ その他必要な事務
●被災地外の幹事指定病院の業務(第14条) 略
・被災地外の幹事指定病院は、次の各号に揚げる業務を行うものとする。
ア AMAT派遣調整の補助
イ 被災地の会員病院等の被災情報の収集
ウ 被災地で活動するAMAT及び被災地の幹事指定病院との連絡調整
エ 全日病、地方公共団体、消防、警察、自衛隊等の関係機関との連絡調整
オ その他必要な事務
●AMAT活動拠点本部の設置(第15条) 略
・幹事指定病院は、必要に応じてAMATの活動拠点となる本部を設置するものとする。
●AMAT活動拠点本部の業務(第16条) 略
・AMAT活動拠点本部は、次の各号に揚げる業務を行うものとする。
ア 被災地に参集したAMATの指揮及び連絡調整
イ 被災地におけるAMAT活動方針の策定
ウ その他、第13条に準ずるものとする。
●活動場所等(第17条)
・被災地で活動するAMATは、原則、被災地の幹事指定病院に参集し、幹事指定病院の調整の下、被災地における活動を行う。
・病院支援を担当するAMATは、当該病院における活動中は、病院長の指揮下に入る。
・被災により病院の機能維持が困難な場合は、病院長と協議の上、患者の避難、搬送の支援を行うものとする。