全日病ニュース

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7対1病院の進路選択/7対1の維持を決定

2014年度改定への対応― 会員病院の報告
7対1病院の進路選択/7対1の維持を決定

10対1は経営的に厳しく、見送る。
地域包括ケア病棟は次期改定で検討

病院全体で「重症度、医療・看護必要度」とデータ提出加算に取り組む

財団法人仁和会総合病院医事課(非常勤) 高水間英文

 平成26年度診療報酬改定から数ヶ月。通常この時期は、点数改正後最初の保険請求が終わり、少し息がつける時。しかしながら、今回の改正は、ご存知のように従来よりも経過措置の多い改正となっています。
 経過措置にあるように、来年度も7対1入院基本料を算定するには越えなければならないハードルがふたつあります。
 そのひとつは一般病棟用の重症度、医療・看護必要度。これをクリアしなければなりません。そのためには日頃からの測定も大切ですが、各種研修会に参加し、漏れがないか常に確認する必要があります。
 事務部としても看護部と連携を密にし、情報交換を行い、看護部だけでなく病院全体で取り組む、こういう姿勢が必要だと考えています。
 もうひとつ大きなハードルとしてデータ提出加算があります。この加算は事務部というより医事課が中心となり、DPC委員会を設置してデータを作成、提出しなければなりません。データの作成も医事課だけでなく、看護部や医師を含め、病院全体で取り組む必要があり、その旗振り役として医事課の真価が問われるとこととなります。
 当院は八王子市に位置し、病床数86床(一般病棟)、1 日平均外来患者数499.8名、1日平均入院患者数64.5名の地域密着型の医療機関です。
 今回の改正では、先述した7対1の見直しにより、いくつかの選択肢が検討されました。その選択肢の1つは地域包括ケア病棟入院料への移行です。
 今回新設されたこの入院料。点数としては基本的には包括であるものの、かなり魅力的な設定となっています。この入院料については、院内でもかなりの議論が行われましたが、結論としては様子見。方向性としては7対1入院基本料を維持していくということに決まっています。
 他の選択肢として10対1入院基本料という選択肢もなくはないのでしょうが、経営的には厳しく、7対1入院基本料を維持するという方針になりました。しかし、地域包括ケア病棟入院料を届出することも、今後の経営を考えると常に考慮しなければなりません。
 この地域包括ケア病棟入院料、施設基準には次の一文があります。「データ提出加算の届出を行っていること」
 7対1入院基本料を維持する場合も、地域包括ケア病棟入院料に変更する場合も、いずれもデータ提出加算は届出しなければならないということです。よって今年度の前半はデータ提出加算に集中することとなります。
 では、いつ届出をすれば来年度も4月から7対1入院基本料を算定することが可能になるのでしょうか。データ提出加算届出の締め切り日、今年度は4回となっています。しかし平成27年2月20日に届出を行った場合、平成27年度4月からの算定は不可となります。このように考えると最悪11月20日に届出を行わなければなりません。
 しかし、11月20日届出というのはデータの不備等を考えると極めてリスクが高いと言えるでしょう。届出時期を考えるのであれば、平成26年8月20日届出と思っています。この場合、もし仮に不備があった場合でも、11月20日再度届出ということも可能です。
 提出ファイルは様式1、様式3、様式4、Eファイル、Fファイルとなります。様式3以外は診療データを基に作成します。基本的にはベンダー任せになりますが、様式1は、氏名や生年月日といった属性以外は、診療情報管理士や医事課職員が入力している医療機関が多いようです。この作業、かなり骨の折れる作業となります。
 コーディングデータが作成でき、DPC委員会も終了したら、届出となります。届出を行いデータ提出となりますが、全てのファイルを厚生労働省のチェックソフトでチェックします。ここでエラーが出なければ統合ファイルが作成されます。
 統合の際に相関チェックを行います。ひとつでもエラーが出たら統合ファイルは作成されません。以前の職場では、毎月20日を目標に各ファイルを作成し、私が統合ファイルを作成していました。
 毎月同じ業務をしていても、エラーがなかなか潰せないときもあります。慣れていてもこういうことが起こってしまいます。よって8月20日の届出をお勧めします。
 せっかくなのでアドバイスをひとつ。統合ファイルを作成し、記憶媒体に保存する場合、1人で行わないようにしてください。以前は私が作成し、保存発送していましたが、知り合いの病院がデータ遅延で1ヶ月算定不可となってしまいました。
 理由を尋ねたところ、「データが入っていなかった。」というものでした。それを聞いてから、私が保存したものを係長に渡し、媒体に記録されているファイル名を手書きし、それを再び私が確認して発送する。このような流れに変更しました。
 このようにデータ提出は、かなり手間がかかると同時に神経をつかう作業となります。初めての医療機関であればかなりのストレスだと思います。のんびりせず、また焦りすぎず対応することが大切です。
 データ提出が終わり、データの確認がとれれば算定開始ですが、しかし、それがゴールではありません。毎月データを作成して発送する。これを継続しなければなりません。ゴールではなくスタートなのです。
 また、データ提出加算は、点数だけではベンダーにかかる費用や人件費は出ないでしょう。少なくとも今回の改正では、急性期医療機関はデータ提出がスタンダードであるということがはっきりしました。
 おそらく、この流れで行けば、10対1入院基本料を算定している医療機関も次回改正ではスタンダードとなってくることが考えられます。7対1入院基本料は次回改正で更なるハードルが設けられることになるでしょう。そのようになっても、地域包括ケア等への移行を敏速に対応できるよう、この2年間で準備しておく必要があると考えています。