全日病ニュース

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西澤会長「本部と支部の連携で中央と都道府県の改革に対応していく」

西澤会長
「本部と支部の連携で中央と都道府県の改革に対応していく」

【14年度第1回の支部長・副支部長会】
新基金で一層の情報提供を約す一方、各支部に主体的能動的な対応を求める

 西澤執行部は6月21日に2014年度第1回の支部長・副支部長会を開き、「新たな財政支援制度(基金)」「診療報酬改定の問題点(疑義解釈について)」「会員増強」を議題に、各支部の役員と意見交換を行なった。
 会議は、冒頭に、西澤会長が新基金制度について、猪口副会長が14年度改定の解釈問題について基調報告を行ない、その後、出席者が質問と意見を表明するかたちで進行した。
 新基金制度に関する説明で、西澤会長は、都道府県に対する国のヒアリングは第1回を終え、7月に各都道府県から事業計画の基本案を聞く2回目のヒアリングをもって、都道府県における事業計画のディテール収集の工程は終わると指摘。
 ただし、各都道府県とも、病床の機能分化・連携、在宅医療・介護、医療従事者等の確保・養成という事業分野の予算枠を固めた段階であるため、各分野の枠内で個別事業の配分を変更する余地があるとして、「今からでもできるものがあれば最後まで取り組んでほしい」と、都道府県とぎりぎりまで折衝をするよう要請した。
 その上で、執行部が5月現在で各支部から報告を受けた事業提案のリストを示し、「これを来年度以降の参考とし、来年度こそ、各県で病院団体が一丸となって具体的な事業案を出してほしい」と訴えた。
 新基金について、国は、医師会や病院団体等の関係団体と話し合うよう都道府県に指導している。しかし、出席者からは「県によって対応の違いが大きい」「公的中心という姿勢に変化がみられない」など旧態依然の都道府県を指弾する声が相次ぎ、「都道府県と医師会に病院団体の意見をよく聞くよう申し入れすべき」あるいは「国に都道府県に対する指導を求めてほしい」などと、執行部にフォローを期待する発言が多く出た。
 こうした声に、西澤会長は「今までは中央の対応である程度できたが、今は中央の動きが各県に及んでいる。したがって、これからは、中央で我々が働きかけ、その内容を支部に情報提供することによって支部の活動を支援していきたい」と執行部の考えを説明、本部と支部が連携の質を上げ、中央と都道府県の両面から行政に働きかける必要を論じた。
 続いて猪口副会長は、改定後4ヵ月たっても疑義解釈が止まらず、疑義解釈の訂正も頻回に出る異例な事態に、「相当に思い切った見直しをしたものの齟齬が多い」と指摘。とくに会員病院から解釈を求められる件数の多い項目を取り上げ、厚労省の見解も踏まえ、6月13日時点の解釈を整理した資料を示し、今後も疑義解釈の内容を注視するよう求めた。  

□第2回定時総会における西澤会長の挨拶(要旨)

 アベノミクスによって経済が好転したのはいいことであるが、医療を含む社会保障に関しては経済財政の視点のみから論じられている。経済成長は大事なことであるが、そのためには、質の高い医療を含めた社会保障の充実が大切ではないか。政府にはそのことを認識してもらい、しっかりとした社会保障制度の議論をしてほしい。
 医療介護総合確保法が成立したが、これは、効率的かつ質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築の2つが柱であり、我々全日病は改革に主体的積極的に取り組んでいきたいと考えている。
 こうした改革の一環として2014年度改定が行なわれたが、その内容には疑問な点が多い。中医協で早く検証をし、もし変更の必要があれば速やかに対応していただきたい。
 全日病の病院のあり方委員会は、今、2025年の医療提供体制と病院のあり方についての検討を進めている。2050年、2060年までも視野に収めた報告書となることだろう。
 2025年に生き残るためということで5月に経営セミナーを開始した。すでに第2弾を終え、7月9日には地域包括ケア病棟というテーマを予定している。単なる研修会で終わらず、できるだけ参加者と議論し、色々な意見をいただきながら、そこから何かを作り上げていきたいと考えている。
 会員から希望するテーマがあれば伺いながら、月1~2回のペースで継続していきたい。今後は地方での開催も検討したい。
 2025年に会員病院がそれぞれの地域で質の高い医療を提供して、地域包括ケアシステムの中で中心的な役割を担っていただきたいと考えている。我々全日病は、そのためにも改革に積極的に対応し、かつ、会員病院を支援していきたい。