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財政制度等審議会 マイナス改定を要求。厚労省に「概算要求」自然増の2千億円近く削減を求める

【「平成28年度予算の建議」】

財政制度等審議会
マイナス改定を要求。厚労省に「概算要求」自然増の2千億円近く削減を求める

 財政制度等審議会の財政制度等分科会は11月16日と20日の会合で財務大臣宛の「平成28年度予算の編成等に関する建議案」について検討、11月24日に財政制度等審議会としてとりまとめた。
 同日、同審議会の吉川洋会長(東京大学大学院教授)が麻生財務大臣に提出、麻生大臣はその後開催された経済財政諮問会議に報告した。
 「建議」は、2016年度予算編成における社会保障費の取り扱いについて、骨太2015の「経済・財政再生計画」に明記された、「社会保障費の増加が高齢化による増加分に相当する伸び(3年間で1.5兆円)となっている基調を2018年度まで継続していく」方針を確実に達成するよう求めている。
 その上で、厚労省の16年度概算要求における自然増6,700億円に言及。「当審議会としては、確実に高齢化による増加分の範囲内(5,000億円弱)にしていくことを求めたい」とした。
 こうした論理を踏まえ、16年度改定について、「(直近10年間の)物価・賃金の動向に比較して診療報酬本体は高止まりしている。(中略)診療報酬本体について、一定程度のマイナス改定が必要と考えられる」との認識を示した。
 したがって、財務省は、6,700億円と5,000億円弱の差の2,000億円近くを予算要求から削減せよと厚労省に迫るわけだが、この削減を実現する方法は主にマイナス改定となることが必至だ。
 報告を受けた11月20日の経済財政諮問会議で、民間議員は口々に「16年度改定はマイナス改定とすべき」「マイナス改定は不可欠だ」と発言。甘利内閣府特命担当大臣は「本日の議論を反映した上で、明日以降、与党の御意見も伺った上で、次回の諮問会議で来年度予算編成の基本方針を諮問・答申する」と述べて、会議を終えた。

平成28年度予算の編成等に関する建議(概要)諮問会議に提示した麻生大臣の資料より

Ⅱ. 財政健全化に向けた取組と28年度予算編成
・「経済・財政再生計画」で掲げられた改革検討項目の具体的内容及びその実施時期を明確にすることが不可欠。
・28年度予算編成は「経済・財政再生計画」初年度の予算であり、当該計画の成否は28年度予算にかかっている。計画で示された「目安」から逸脱することがあってはならない。
社会保障(下線は編集部による)
 28年度の社会保障関係費の伸びは、改革工程表の策定や診療報酬改定・薬価改定等を通じて、「経済・財政再生計画」初年度にふさわしいものとなるよう、確実に高齢化による増加分の範囲内(5,000億円弱)にしていく必要。
(1)改革工程表の策定
 検討・実施時期を大きく3つに区分しつつ、改革の方向性等と併せて明確化。
Ⅰ. 最優先で速やかに検討・実施すべき事項
・高額療養費制度/高額介護サービス費制度の見直し(高齢者と現役世代の上限額の同水準化等)
・医療・介護を通じた光熱水費相当額に係る費用負担の公平化(患者負担の原則全ての療養病床への拡大)など
Ⅱ. 速やかに検討・実施すべき事項で法改正を要するもの
・病床再編や地域差是正に向けた都道府県の権限の強化
・介護納付金の総報酬割化
・かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担の導入
・スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の引下げ など
Ⅲ. できる限り早い時期に検討・具体化すべき事項
・後期高齢者の原則2割負担化
・前期高齢者納付金の総報酬割化など
(2)28年度診療報酬改定
 薬価改定に加え、診療報酬本体のマイナス改定や診療報酬関連の制度改革を通じ、28年度の社会保障関係費全体の実質的な伸びを高齢化による増加分の範囲内とすることを目指すことが基本。
●薬価・医薬品等に係る改革
・28年度薬価改定を適切に医療費の伸びの減に反映。3年連続薬価改定を踏まえ、頻度について遅くとも30年央を目途に結論。
・後発医薬品価格の更なる引下げ、特許切れ先発医薬品価格の引下げ措置の見直し、特許切れ先発医薬品価格のうち後発医薬品に係る保険給付を超える部分の患者負担化。
●調剤報酬に係る改革
・報酬水準全体の引下げを図りつつ、真に「かかりつけ薬局」の機能を果たしている薬局を重点評価(調剤基本料・調剤料の引下げ、薬学管理料の重点評価)。

 

全日病ニュース2015年12月1日号 HTML版

 

 

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