全日病ニュース

【社保審医療保険部会】

神野副会長「臨床研修は一般病院におけるスーパーローテート研修が適当」

　医師臨床研修部会に付設された到達目標・評価の在り方に関するWGは、10月28日の会合で四病院団体協議会に対するヒアリングを実施、神野正博全日病副会長が医師臨床研修制度に対する四病協の見解を述べた。
　その中で、超高齢化社会に対応した地域包括ケアシステムの構築に向かう中、プライマリ・ケアの基本的診療能力を身につけるとともにチーム医療や医療・介護の連携を学ぶためには、高度急性期から在宅まで幅の広い疾病をみる一般病院でスーパーローテートの研修を受けることが適当であると強調。医師臨床研修制度の専門研修化を目指す動きに、病院団体の立場から反対した。
　同WGは、医師臨床研修制度の次回見直しに向けて、到達目標や評価方法のあり方を検討するために設置され、これまで、日本内科学会ほかの主要学会、日本専門医機構、卒後臨床研修評価機構、日本医師会などから意見を聞いてきた。
　この日はヒアリングの最後として、四病協のほかに、全国医学部長病院長会議、聖マリアンナ医科大学医学部、東京慈恵会医科大学が意見陳述した。
　WGはヒアリング結果も踏まえてさらに議論を深め、16年度中に検討結果をまとめて医師臨床研修部会に報告。
　厚労省は、同部会の手でまとめられる新たな到達目標と評価方法を20年度の研修から適用させる方針だ。

□神野副会長の意見陳述（要旨）

　16年度改定の基本方針案の基本認識でも、超高齢社会における医療政策の基本方向として「地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築）が示されている。この方向性を見据えながら医師の臨床研修のあり方を考えなければならない。
　臨床研修はプライマリ・ケアの基本的診療能力を身につける場であり、専門分化していく専門医教育の場ではない。
　基本理念は「医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ」としており、臨床研修では医療から介護にいたる様々な問題や課題への対応も求められる。
　地域の一般病院は、高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅と、幅の広い診療領域に対応する一方、地域包括ケアを支え、医療・介護の連携やチーム医療を推進している。
　したがって、基本理念に従えば、臨床研修の場は、病床機能報告で高度急性期と名乗り出ている病院ではなく、一般病院の方が適当である。また、スーパーローテーションを見据えた診療科を経験しないと、こうした広い知識は身につかないと考える。