全日病ニュース

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地域医療構想と医師の働き方改革で意見交換

地域医療構想と医師の働き方改革で意見交換

【常任理事会】回復期機能は不足していないことを確認

 全日病は11月18日の常任委員会で地域医療構想および医師の働き方改革をテーマに討議した。猪口会長と織田副会長が厚生労働省の検討会等での検討状況を報告した上で意見交換した。
 地域医療構想に関して、9月29日付けで厚労省から出された事務連絡について質問があった。事務連絡は、地域医療構想・病床機能報告における回復期機能の考え方を示すもの。回復期機能は、回復期リハビリテーション病棟入院料などを算定する病棟のみを指すものではないことを確認した上で、「現時点で全国的に回復期機能を担う病床が大幅に不足し、必要な回復期機能の医療を受けられない患者が多数生じている状況ではない」との認識を示している。
 病床機能報告の集計結果と将来の病床の必要量の比較から、「回復期を担う病床が各構想区域で大幅に不足しているように誤解されている」と懸念を示し、各医療機関に対し、診療の実態に即した医療機能を報告するよう求めている。
 織田副会長は、「回復期が足りないという議論が各県で行われていて問題になっていた。事務連絡によって理解が得られたのではないか」とコメントした。
 猪口会長は「厚労省もこのまま進めていくと、回復期リハ病棟が増えて困ったことになると認識しているようだ」として、厚労省の対応が変わってきた印象があると述べた。また、「回復期」という名称が誤解を招いているとし「例えば、亜急性/回復期とすれば、選択する病院も増えるだろう。しかし、法律で決まっていることなので変えるのは難しい」と述べた。
医師の働き方に国民の理解必要
 医師の働き方改革について猪口会長は、若い医師の働き方に関する感覚が変わってきていることから、時間外労働の規制を含め、医師の働き方を変えていく必要があることに一定の理解を示しつつ、現状のまま規制が実施されると医療機関は診療時間を短縮せざるを得なくなるとし、「救急医療や産科医療を崩壊させないために何が必要かについて、訴え続けていく必要がある」と強調した。
 その一方で、医師の働き方を変えるのであれば、夜間・深夜の救急車の利用を含め、国民の理解を求める努力が必要と述べた。
 出席者からは、医師の働き方改革に対応するとすれば、軽度の医療を保険給付から外し、重症者の医療に保険給付を重点化するなど、医療保険の給付範囲の見直しにつながる抜本的な改革が必要になるのではないかとの意見があった。

 

全日病ニュース2017年12月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 急性期指標の取扱いに慎重論相次ぐ

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170601.pdf

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    追い込まれ ... また、働き方改革の中でいち早く「1. 日8時間」「週45時間」「残業ゼロ」の
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  • [2] 「人生の最終段階における医療」で委員会を設置へ

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170715/news06.html

    2017年7月15日 ... 人生の最終段階における医療」で委員会を設置へ. 【四病協・総合部会】病床機能報告と
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