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介護医療院・介護療養病床の報酬・基準案を概ね了承

介護医療院・介護療養病床の報酬・基準案を概ね了承

【社保審・介護給付費分科会】介護医療院Ⅰ型に医療処置と重度者の算定要件

 社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科会長)は11月22日、介護医療院の報酬・基準案について議論し、厚生労働省の提案を概ね了承した。転換支援策の加算には一部に慎重な意見があった。
 介護医療院のうち、介護療養病床(療養機能強化型)相当のⅠ型については、①人員基準は療養機能強化型と同様だが介護職員は5: 1とする、②医師の宿直は必要だが、医療機関併設の場合は宿直医師を兼任できる等基準の緩和や設備の共用を可能とする、③療養室は4名以下、1人当たり8.0m2以上とし、転換の場合は大規模改修まで6.4m2を認める、④廊下幅は1.8m、中廊下は2.7m とし、転換には廊下幅1.2m、中廊下1.6m を認める、などとしている。
 Ⅰ型の基本報酬に関しては、療養機能強化型を基に医療処置や重度者要件等を設ける一方、介護療養病床より療養環境が充実していることも評価することとした。その上で、介護療養型の現行加算等を継承、さらに、介護老人保健施設の緊急時施設療養費と同様の評価を設けるとしている。
 転換支援策としては、①療養室面積と廊下幅等の基準を緩和する(前出)、②転換後1年間算定できる加算を新設する(期限は2021年3月末)方策を示した。
 一方、介護療養型医療施設にとどまる病院の報酬に関しては、①介護老健施設の算定要件である一定の医療処置または重度者要件を基本報酬の要件とする、②療養機能強化型以外の介護療養病床にDPC コードの記載を求める方針を打ち出した。

介護療養型医療施設、介護医療院 報酬・基準案の概要

□介護医療院について 【人員・施設基準】 ○ 介護医療院のⅠ型とⅡ型は療養棟単位で提供できる。ただし、規模が小さい場合は、これまでの介護療養病床と同様、療養室単位でよい。
○ 開設に伴う人員基準については、①医師、薬剤師、看護職員、介護職員は、Ⅰ型とⅡ型に求められる医療・介護ニーズを勘案して設定し、②リハ専門職、栄養士、放射線技師、その他の従業者は施設全体としての配置を念頭に設定する。
○ 療養室は、定員4名以下、1人当たり床面積を8.0m2とする。
○ 療養室以外は診察室、処置室、機能訓練室、臨床検査設備、エックス線装置等の設置を求める。
○ 医師の宿直は引き続き求めるが、一定の条件を満たす場合は医師の宿直が必要ない。
○ 医療機関と併設する場合は、宿直の医師を兼任できる等人員基準の緩和や設備の共用を可能とする。
【基本報酬等】
○ 基本報酬は、Ⅰ型は介護療養病床(療養機能強化型)を参考とし、Ⅱ型は介護老人保健施設の基準を参考に24時間の看護職員配置が可能となることに考慮して設定する。
○ その上で、Ⅰ型、Ⅱ型それぞれに設定される基準に応じた評価を行い、一定の医療処置や重度者要件等を設けメリハリをつけた評価とするとともに、介護療養病床よりも療養室の環境を充実させていることもあわせて評価する。
○ 介護療養型医療施設の加算等は介護医療院においても同様とする。
○ 介護老人保健施設と同様に緊急時施設療養費と同様の評価を行う。
○ Ⅰ型には、療養機能強化型と同様にDPC コードの記載を求める。
□介護医療院等への転換について
○ 療養室の床面積や廊下幅等の基準緩和等、転換する上で配慮が必要な事項は基準の緩和等を行う。また、最初に転換した時期から1年間に限り算定可能な加算を新設する。ただし、2021年3月末までの期限を設ける。
○ 介護療養型老人保健施設からの転換にも同様の支援策を用意する。
□介護療養型医療施設について
○ 介護療養型老人保健施設の算定要件である一定の医療処置(喀痰吸引または経管栄養の割合が15%以上)または重度者要件(日常生活自立度ランクM以上の認知症の割合が20%以上)を介護療養型医療施設の基本報酬の要件として設ける。
○ 療養機能強化型以外の介護療養型医療施設も、介護給付費明細書にDPC コードの記載を求める。

 

全日病ニュース2017年12月15日号 HTML版

 

 

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