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ホーム全日病ニュース(2018年)第921回/2018年7月15日号長期療養(療養病床入院基本料、介護医療院)...

長期療養(療養病床入院基本料、介護医療院)

長期療養(療養病床入院基本料、介護医療院)

【診療報酬改定シリーズ 2018年度改定への対応④】医療保険・診療報酬委員会 委員 田蒔正治

 地域医療構想ガイドラインが策定され、全国的にも回復期以外は病床過剰とされ、特に慢性期医療では医療区分1の70%の患者等を介護施設や在宅医療に、約30万人の移行を推計しており、介護医療院等への取組みが鍵となる。

 療養病床入院基本料
 今回の同時改定では介護療養病床と医療療養病床のうち、25対1が廃止とされていたが、転換準備期間として廃止が再度6年間延長された。
 診療報酬改定では、療養病棟入院基本料は「看護配置20対1以上」とした上で医療区分2・3の該当患者割合が80%以上の入院料1と50%以上の入院料2に再編された。さらに療養1、2ともに医療区分1~3とADL区分1~3の組み合わせで、点数は従来のまま据え置かれた。20対1又は医療区分2・3の50%を満たせないと経過措置となり、25対1は経過措置1として1割減算、30対1は経過措置2として2割減算となる。
 経過措置1の期間はまず2年間とされており、次期改定で再検討される。介護医療院と同様に6年間となる見込みである。経過措置2は、2年間とされている。改定前に療養1と2の病棟を運営していた場合、4月からどちらかとなり、療養1又は2の病棟と経過措置1又は2の病棟は併設できる。
 医療区分の見直しは1項目だけで、「常時、監視および管理を実施している状態」は、他にも医療区分2・3に該当する項目がある場合のみ医療区分3とみなされる。
 今回改定で一般病棟にDPCデータによる評価が導入されたが、療養病棟の医療度区分は従前のままであり、今後は一元化された評価項目による適切な見直しが望まれる。
 その他、療養病棟入院基本料の要件に看取り方針(ACP)が加わったほか、200床以上の病院におけるデータ提出加算に係る届け出が見直された。
 在宅復帰機能強化加算の点数が10点から50点に増え、基準値は0.1以上から0.15以上に厳格化された。複数病棟あると全病棟で同加算を満たす必要がある。同加算は今年4月からは急性期一般入院料からの在宅復帰・病床機能連携率の算定や地域包括ケア病棟からの在宅復帰率の算定要件から外れた。
 在宅から患者を受け入れた場合の在宅患者支援療養病床初期加算350点と急性期病棟から受け入れた急性期患者支援療養病床初期加算300点に分かれ点数が上がり、医療区分2、3の実積部分の評価に繋がるが、マンパワーの課題が残る。

 介護医療院
 これまで療養病床削減のために厚労省は2006年同時改定時に老健施設への転換、介護療養病床の廃止などを手掛けて来たが、一向に減らずに今回「介護医療院」の新設となった。
 転換後には、従来の病院・診療所の名称を名乗ることも認めており、2区分(Ⅰ型介護療養病床相当、Ⅱ型介護療養型老健施設相当)があり、長期療養・生活施設となる。
 Ⅰ型は医師48対1(施設で3以上)、看護職員6対1、介護職員5対1。Ⅱ型は医師100対1、看護・介護職員は各々6対1とされており、リハビリ職員、栄養士、放射線職員、介護支援専門員等は施設全体で配置する。
 療養室は4人以下、1人当たり床面積8.0㎡以上で大規模改修までは1人当たり6.4㎡でもよいが、本則は8.0㎡以上のため下回る場合は療養環境減算Ⅱ(25単位)の適応となる。運営基準は介護療養と同様で、医師の宿直は求めるが医療機関と併設の場合は兼任ができ、人員基準の緩和や設備の共用を認めている。
 基本報酬はⅠ型、Ⅱ型ともそれぞれに相当する療養機能強化型や介護療養型老健より手厚く設定(Ⅰ型では療養機能強化型Aと比べて各25単位アップ)されており、Ⅱ型は基本報酬が低いが医師の配置が少なくてすむ。一つの施設内にⅠ型とⅡ型の両方設けることは可能だが、一つの類型に複数の種類(Ⅰ~Ⅲ)は併存できない。なお、Ⅰ~Ⅲの算定要件を満たせないと特別介護医療院サービス費の算定となり、多くの加算(特に移行定着支援加算等)が算定できない。
 介護医療院への転換説明を患者や関係地域住民に行った場合に移行定着支援加算(1日93単位)が転換の届け出日から1年間算定できるが、加算制度は2021年3月31日まで。ただし、最初の病棟転換から1年間のため、複数棟転換は全病棟を同時に転換するとメリットが大きい。
 緊急時医療は緊急時施設診療費として評価されている。栄養マネジメント加算要件が緩和され、常勤の管理栄養士1名以上の配置で、同一敷地内に他の介護施設(1施設に限り)との兼務が認められた。
 今後の課題はⅡ型と在宅支援・復帰を目指す介護老人保健施設との競合や、市町村財政が逼迫する中、介護療養病床以外からの介護医療院が今後どこまで整備されるのか疑問。厚労省は3月6日に病床転換における地域医療介護総合確保基金からの施設整備費の支援単価を62万円から80万円に引き上げる方針を示しているが、地方自治体での情報開示と民間病院にも転換時の確実な基金支援を望む。

 

平成30年度診療報酬改定Ⅰ-1.医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価㉙(3)長期療養

上記の対応関係にある病棟については、平成30年9月30日までの間は、施設基準を満たしているものとみなす。

 

全日病ニュース2018年7月15日号 HTML版

 

 

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