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療養病棟は20対1に統一、医療区分2・3は5割以上に

療養病棟は20対1に統一、医療区分2・3は5割以上に

【中医協総会】医療区分の項目はより厳しく設定の方向

 中医協総会は12月13日、2018年度診療報酬改定の個別項目の議論の大部分を終えた。今後はより具体的な施設基準や算定要件、点数が示されることになる。12月8日は療養病棟入院基本料や医療・介護連携、13日はリハビリ専門職への常勤要件等の緩和や処方日数制限の取扱いをテーマとした。
 療養病棟入院基本料は看護配置25対1をなくし、20対1に統一する方向になった。現行の25対1が人員体制を強化して20対1に移行することを見込み、医療区分2・3の該当患者割合は現行の「8割以上」から「5割以上」とする。「5割」をさらに上回る場合は基本部分に評価を上乗せする。イメージとしては、20対1の下限(基本部分)は、現行の25対1より若干高い水準。20対1の上乗せの上限は、現行の20対1よりも高い水準となりそうだ。
 介護療養病床や医療法施行規則の経過措置が6年間あることを踏まえ、現行の25対1と、入院基本料が5%減算される特例の25対1にも経過措置を設けるが、当面2年間とした。5%減算の経過措置には新たに移れない。
 一方、医療区分の項目は厳しくなる。具体的には、「医療区分3の『医師および看護師による常時監視・管理』のみに該当する場合は医療区分2、当該項目と医療区分2のいずれかの項目が該当する場合は医療区分3」とする。全日病会長の猪口委員は「医療区分は今回見直す必要はないと思う」と配慮を求めた。
 医療・介護連携では、◇介護支援専門員や老健施設との情報共有◇介護施設での看取り─などが論点になった。
 医療機関が介護支援専門員に診療情報を提供すると、診療情報提供料(Ⅰ)が算定できるが、対象は「退院から2週間以内の患者」。入院早期からの退院支援を推進するため、退院前の一定期間に限り、算定を可能とする。かかりつけ医と老健施設との情報連携では、多剤投与・重複投薬是正のため、「入所中の処方薬、対処後の外来受診時における処方内容のフォローアップ」などを新たに評価する方向になった。
 看取りについては、介護老人福祉施設が配置医以外の医療機関に看取りを依頼する場合、介護報酬で看取り介護加算を算定すると、在宅ターミナルケア加算や看取り加算を併算定できない。
 入所者の希望に反して看取り期に病院に搬送されないようにする観点から、医療機関・訪問看護ステーションが協働して、看取り期のケアを行った場合、診療報酬を算定できるようにする。
 施設基準で求められるリハビリ専門職の常勤要件について、すでに議論した医師や看護師など他の職種と同様に、複数の非常勤従事者の組み合わせで常勤配置と認めることを了承した。専従要件も対象患者が一定程度以下の場合や、専従での業務を行っていない時間帯の取扱いで、弾力的な措置を設けることになった。
 規制改革会議が求める新医薬品の14日の処方日数制限延長については、日数制限を行わない新医薬品は中医協で個別に判断するとの現行どおりの取扱いにすることで意見が一致した。
 また、12月15日に診療報酬改定に関する中医協の意見書をまとめた。診療側は診療報酬のプラス改定、支払側はマイナス改定を求める意見を両論併記した。しかしすでに本体0.55%との報道があり、委員から苦言が呈された。

全日病ニュース2018年1月1日・15日合併号 HTML版

 

 

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    2017年9月1日 ... 療養病棟の医療区分の設定に一定の妥当性. 【中医協・入院医療等分科会】看護配置
    25対1の取扱いが課題. 中医協の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価
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  • [2] 第743回/2010年11月1日号

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