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経験10年程度の医師を四病協などが専門医に認定

経験10年程度の医師を四病協などが専門医に認定

【専門医あり方検討委】現行制度による専門医は「専門研修修了医師」

 四病院団体協議会の「専門医制度のあり方検討委員会」(神野正博委員長)がまとめた提言が、8月22日の総合部会で了承された。専門医のあり方を原点から見直したもので、タイトルは、「社会はいかなる専門医を必要としているのか」。国民が求める専門医を養成するには、「10年程度の臨床経験が必須」と指摘し、現行の専門医制度による3年程度の研修を修了した医師は「専門医」ではなく「専門研修修了医師」と位置づけ、現場で一定の経験と能力を積んだ医師を厳格な審査で認証する「専門医」と区別することを提案した。
 また、認証に当たっては、厳格なプログラム制ではなく、柔軟なカリキュラム制が望ましいとしたほか、病院団体による病院総合医の認定事業が始まっていることを踏まえ、四病協の認証機関の一つとしての役割を担うことを想定した。
 四病協の専門医制度のあり方検討委員会は、4回にわたって、議論を続けてきた。今年度からスタートした新専門医制度に対し、様々な問題が指摘されているが、提言書は新専門医制度の個別の問題を指摘するのではなく、専門医のあるべき姿を基本から考え、「国民の視点」、「医師の視点」、「病院の視点」、「地域偏在解消の視点」などの観点から整理することに重点を置いた。

 専門医制度の経緯
 このため提言は、専門医制度のこれまでの経緯を振り返った。専門医制度は1962年に日本麻酔科学会が初めて認証を開始したのが最初で、その後、多くの学会が独自の基準で認証を行ってきた。このため、国民にとって非常にわかりにくい制度になった。そうした中で、第三者機関による認証を求める声が高まり、厚生労働省の検討会の議論を経て、2014年に日本専門医機構が設立された。
 背景として、提言書は3つの重要な課題があったと指摘する。すなわち、①学会の認定基準が統一されておらず、専門医の質の担保に懸念がある②国民にとってわかりにくく、専門医の能力の捉え方にも、医師と国民に齟齬がある③医師の地域偏在・診療科偏在─である。これらの課題を解決することが専門医制度に必要であり、それを念頭に、今回、四病協の提言になった。
 日本専門医機構は現在、診療科として基本19領域を定め、今後サブスペシャリティを順次認定していく状況にある。しかし、認定基準が統一されていない以上、国民から見て、他の専門医との区別は見出し難いとした。
 また、専門医に対する医師と国民の認識に齟齬があると言われる。国民が期待する専門医は、「1人前」の医師であり、そうであるなら、「知識はもとより、確かな技術を身につけ、さらには医療チームをまとめる調整能力を持つ者」が期待されていると指摘。3年程度の専門研修では足りず、「10年度程度の臨床経験は必須と理解すべきではないか」と問いかけた。
 このため、3年程度の専門研修の修了は「専門研修制度」であり、その認定は「専門研修修了医師」とすることを提案した。これは、現場で臨床経験を積んだ文字通りの「専門医」と区別するためである。「専門研修修了医師」の更新だけでは、「専門医」の認定は得られない。
 医師の視点から見ると、「キャリアパスの中で、その時々の認証を得たいと考えるのが自然の成り行き」があるとし、「多重的に取得可能な専門性」を考えるべきとした。そのような専門医としては、在宅医療や高齢者医療・介護、予防・健診に関わる専門医も含む。そして、その専門医の研修は、年次や研修機関が決まった厳格なプログラム制ではなく、柔軟な履修が可能なカリキュラム制が望ましく、指導者や指導場所も多様であることが必要とした。
 病院の視点では、いわゆる病院総合医と言われる診療科横断的な医師が必要な状況で、そのような医師をどのように育成し、「アイデンティティをいかに醸成するか」が課題であるとした。日本専門医機構が総合診療専門医の研修をスタートさせたが、様々な課題がある。そのような状況で、病院団体による病院総合医の認定事業も始まった。病院総合医のような専門医の認証を行う機関としては、四病協が候補になり得ることを明記した。
 四病協が、専門医研修を受けない、いわゆるフリーター医師に対する教育・研修を担う役割も主張した。具体的には、専門医研修を受けない医師に対し、国の制度として、「医師法・医療法や健康保険法等による医師の倫理や安全、最新の知見等の研修を必須化」することを提案している。
 地域偏在解消の視点では、将来の需要動向がデータによって「見える化」されても、学会が自ら定員を削減する行動を期待するのは困難と指摘。国の関与が避けられないとした。将来的には、都道府県の地域医療対策協議会の議論を踏まえ、国が「専門研修修了医師」の数に、定員制を設けることを提言した。
 これらの考えに従い、提言を下記の表のようにまとめている。

 

全日病ニュース2018年9月1日号 HTML版

 

 

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  • [2] 新専門医制度は2018年度から一斉にスタート

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  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年5月1日号)

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