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厚労・財務の大臣折衝で主要事項を合意

厚労・財務の大臣折衝で主要事項を合意

【2019年度予算案】消費税対応で診療報酬本体0.41%改定

 2019年度政府予算案をめぐり、根本匠厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣の大臣折衝が12月17日にあった。社会保障関係費の伸びは概算要求ベースの6千億円から1,200億円引下げ4,800億円に圧縮した。2019年10月の消費税10%までの引上げに伴う診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬の改定率も決まった。改定率は診療報酬本体で0.41%、介護報酬で0.39%、障害福祉サービス等報酬で0.44%となった。
 折衝項目は多岐にわたり、①2019年度社会保障関係費②消費税率の引上げに伴う報酬改定③社会保障の充実等④介護人材・障害福祉人材の処遇改善⑤後期高齢者医療制度の保険料(均等割)の軽減特例見直し⑥軽減税率の恒久財源の確保⑦臨時・特別の措置─など。
 2019年度社会保障関係費の伸びについては、概算要求ベースの6千億円から1,200億円引下げ4,800億円とした。骨太の方針2018では、金額は明示していなかったが、実質的な増加を高齢化による増加分にとどめるとの方針が示されていた。
 厚労省はこれを達成するため、介護納付金の総報酬割の拡大(610億円)や薬価等の実勢価格に合わせた改定(500億円)、生活扶助基準の見直し(30億円)、その他により費用の伸びを圧縮した。増加分の4,800億円のうち、「年金のスライド分」が100億円、高齢化分が4,700億円となっている。

薬価は0.51%のマイナス
 消費税の引上げに伴う報酬改定では、医療機関等が負担する仕入税相当額を診療報酬で全体として補填する。診療報酬本体で0.41%の改定となった。内訳は医科0.48%(国費200億円)、歯科0.57%(同20億円)、調剤0.12%(同10億円)である。
 他方、薬価・材料では実勢価格に合わせた引下げと調整幅を加えたものに、補てんを行っている。このため、薬価は実勢価改定の▲0.93%(国費▲490億円)に、消費税対応で0.42%(同200億円)を上乗せして、▲0.51%(同▲290億円)のマイナスとなった。材料は▲0.02%(同▲10億円)に0.06%(同30億円)を上乗せして、0.03%(同20億円)となった。
 介護報酬は0.39%の改定を行う(国費50億円)。なお、施設等における食費・居住費の基準費用額の引上げに伴う補足給付の増額への対応分として別に国費7億円を手当する。障害福祉サービス等報酬は0.44%の改定を行う(同30億円)。

医療ICT化促進基金を創設
 消費税増収に伴う社会保障の充実等では、「新しい経済政策パッケージ」と骨太の方針2018を踏まえ、初年度の増収分の概ね半分を活用する。公費で計8,100億円の措置となる。
 新たに「医療ICT化促進基金( 仮称)」を創設する。同基金は国費で300億円を積む。同基金では、オンライン資格確認と電子カルテの標準化を進める。そのほか、◇介護人材の処遇改善(公費420億円)◇幼児教育・保育の無償化(公費3,880億円)◇年金生活者支援給付金(公費1,860億円)◇保育士の処遇改善(公費210億円)◇低所得高齢者の介護保険料の更なる軽減強化(公費650億円)◇地域医療介護総合確保基金の増額(公費200億円)─なども実施する。

介護人材等の処遇改善を実施
 介護人材の処遇改善は、2017年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」を踏まえ、消費税率引き上げと合わせ、その財源を活用して2019年10月の報酬改定により、新たに導入するものである。
 介護サービス事業所における「経験・技能のある介護職員(勤続年数10年以上の介護福祉士)」について、月額平均8万円相当の処遇改善を算定根拠として、国費で210億円を投じる。自治体負担は210億円。さらに保険料負担もあわせると、およそ840億円程度の規模となる。これらの金額は、5カ月分の対応で、満年度では2千億円規模となる。

 

全日病ニュース2019年1月1日・15日合併号 HTML版

 

 

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  • [1] 厚労・財務大臣折衝> 診療報酬の本体改定率は0.55%に

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180101/news04.html

    2018年1月1日 ... 加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣は12月18日、2018年度予算編成の大臣
    折衝を行い、次期診療報酬改定の本体改定率を0.55%とすることを決めた。2016年度
    の0.49%を上回る引上げとなった。薬価制度抜本改革を含む薬価の引下げにより1,900
    億円を確保できたため、社会保障費の伸びを5千億円程度に抑えるという目標も達成
    した。介護報酬改定の改定率は0.54%で、0.01ポイント診療報酬を ...

  • [2] 2017 年度厚労省予算> 医療・介護の見直しで社会保障費を抑制

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170201/news10.html

    2017年2月1日 ... 景気に配慮して、消費税率の引上げを先送りする中で、財政健全化を進めるための
    方策として、社会保障の伸びを抑制する目標(目安)を打ち出し ... 2016年度は、診療
    報酬と薬価の改定で予算を削減し、社会保障費の抑制を達成した。2017年度は診療
    報酬・薬価の改定がなく、大きな制度改正も予定され ... そのための具体策が、昨年12
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