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専攻医募集で診療科別のシーリングを設定

専攻医募集で診療科別のシーリングを設定

【日本専門医機構】2020年度研修の専攻医募集から導入

 日本専門医機構は4月22日に会見を開き、寺本民生理事長が、2020年度に研修を始める2019年度の専攻医募集で、診療科別の定員の上限設定(シーリング)を設ける方針を示した。現状で、5都府県に設けている上限設定についても見直す。これまで機構は、前回のシーリングの方法を当面2年間は踏襲するとの見解を示していた。しかし、厚生労働省が新たに地域別・診療科別の必要医師数の推計を行ったことなどを受け、方針を転換した。
 過去2年間と同じく、9月中の募集の開始を目指しており、議論のスピードを速めて、シーリングの詳細を詰める。
 現状では、大都市のある東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県に対し、過去5年間の実績の平均以下に抑えるとの基準を置いている。2019年度開始の専攻医募集でも、その基準を満たし、8,615人の専攻医の登録が決まった。しかし、現状の基準では、東京の一極集中が改善する兆しはない。そこで、2020年度は東京を5%削減とする方向で議論がこれまで進んでいた。
 しかし、医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会が第4次中間取りまとめを議論する際に、厚労省は、医師偏在対策を進める上で、地域別・診療科別の必要医師数の推計結果を示した。それによると、特定の地域や診療科では、全体の需給が均衡するよりは早く、医師が過剰になることなどが明らかになっている。
 厚労省は機構に対しても、これらの推計結果などを説明。専門医研修においても、早急に募集方法の見直しを図ることを求めたという。
 これに対し寺本理事長は、「当面2年間は、現状の方法を踏襲するとしたのは、信頼できる実績の数字がなかったためだが、厚労省からそれなりの数字が出てくるのであれば、受け止める必要がある」と述べ、理事会としても、診療科別のシーリングを2020年度の専攻医募集で設けることに、概ね理解を得たとした。
 ただし、実際のシーリング設定に当たっては、厚労省の推計結果に対して委員から疑問点が複数出ており、さらに厚労省に説明を求め、議論していくとの見解を示した。
 例えば、基本診療領域で最も早期に過剰になるのは精神科だが、「地域で措置入院を行うための専門医を確保することを考慮しているのか」といった疑問が出ているという。
 地域別では、シーリングの対象となっている神奈川県と愛知県が、推計によると、医師多数県ではないとの結果になった。このため、対象から外すことが検討課題となる。
 また、2019年度の専攻医募集では、総合診療専門医の登録が179人で、2018年度と同様に少なかった。理事会の議論では、「将来のキャリアパスがみえない」ことが、人数が伸びない大きな理由の一つとされた。寺本理事長は、「キャリアパスがみえるようにするため、ダブルボードの議論も早急にしっかりと決める必要がある」と述べた。

 

全日病ニュース2019年5月15日号 HTML版

 

 

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    2019年4月1日 ... 【医道審・専門研修部会】研修始める専攻医には配慮 ... 厚労省は2019年度の専攻医
    募集における上限設定(シーリング)でも見直しを提案。新たな医師 ... また、総合診療科
    と救急科を除き、診療科別シーリングを設ける具体案も示している。

  • [2] サブスペ23領域の専門研修部会の追認求める|第937回/2019年4月 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190401/news15.html

    2019年4月1日 ... 2019年度の専攻医募集については、3次募集も終了し、登録状況を最終的に確認 ...
    大阪府、福岡県)の上限(シーリング)をどう設定するかの議論も行われる。 ... 今後、
    診療科別の上限設定も視野に入るが、2020年度の募集で具体化するに ...

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