全日病ニュース

働き方改革関係などで予算要望

【四病協・総合部会】９テーマ27項目に整理

　四病院団体協議会は５月22日、2020年度予算概算要求に関する要望をまとめた。救急、災害、へき地医療を支える体制づくりや地域医療構想の実現、一億総活躍社会に向けた取組みを強化するための財源措置を求めた。消費税率10％への引上げは予定通り実施し、その財源を「医療を筆頭に社会保障に十分な予算配分」をすべきとした。
　要望項目は９テーマで27項目をあげた（右表）。特に、働き方改革関係で８項目を要望した。医師の過重労働を改善するには、医師の増員が必要となる。このため、診療報酬以外で人件費に相当する分の手当てを求めた。働き手不足への対応では、ICT・ロボットの導入の補助をあげた。医療機関に厳密な勤怠管理が必要とされていることも明記した。
　医療従事者の能力向上では、総合的診療能力の獲得を促すキャリア形成支援事業を実施する病院団体への経費補助を要望した。また、「特定技能」を含めた外国人介護人材を受け入れる取組みや、外国人患者の治療費を回収しやすくするためのキャッシュレス決裁が可能な仕組みに対する財政的支援を求めている。

専門機構の抜本的見直しが必要
　同日の総合部会では、新専門医制度に関し、日本専門医機構の運営に対し、厳しい意見が相次ぎ、四病協として抜本的な見直しを含めた意見を主張していくべきとの認識で一致した。
　機構は医師のプロフェッショナル・オートノミーを基本に、専門医の育成を図ることを目指している。しかし、最近の専攻医募集定員の上限設定やサブスペシャリティの意思決定においては、厚生労働省や学会が主導し、機構はそれを追認するだけの状況が続いている。会見で日本病院会の相澤孝夫会長は、「機構や制度がどうあるべきかという全体を見た議論ができていない」と述べた。
　また、厚労省が地域医療構想と医師の働き方改革、医師偏在対策を三位一体で推進すると説明していることに対し、異論が多く出た。現状の地域医療構想調整会議の議論で公立・公的病院の実際の再編・統合につながらない状況が続く中で、他の課題を加えると、再編・統合の議論がさらに遅れるとの懸念が示された。再編・統合を決めた公立・公的病院の議論が振り出しに戻る可能性を指摘する意見も出た。

2020年度予算概算要求に関する要望（概要）