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ホーム全日病ニュース(2019年)第941回/2019年6月1日号調整会議で公立病院と民間病院の役割分担を議論...

調整会議で公立病院と民間病院の役割分担を議論

調整会議で公立病院と民間病院の役割分担を議論

【衆院・厚生労働委員会】安藤副会長が公立病院の赤字額を質問

 全日病の安藤高夫副会長(衆議院議員、自民党)は5月15日、衆院厚生労働委員会で、公立病院と民間病院のあり方について質問した。
 安藤副会長は、4月26日付の日本経済新聞で、自治体が運営する公立病院における本業の赤字総額が2017年度に4,782億円となり、2012年度比で5割増えたと報じたことについて事実関係を質問した。
 総務省の沖部望審議官(公営企業担当)は、地方公営企業法に基づく公立病院の決算から経常損益は、2012年度の336億円の黒字から2017年度には767億円の赤字になっていると答えた。沖部審議官は、深刻な医師不足や人口減少に伴う患者数の減少により、公立病院は厳しい経営状況にあると説明。新公立病院改革ガイドラインに沿ってすべての公立病院が改革プランを策定し、他医療機関との統合再編などを進め、2020年度までの黒字化を目指していると述べた。
 日経新聞が報じた赤字総額は、公立病院の医業収支から自治体の補助金のうち医業収益に含まれる他会計繰入金(救急医療と保健衛生行政費)を除いて純医業収益を独自に算出したもの。総務省が集計する公立病院決算は繰入金を含んでいるので実態が見えにくいと指摘している。なお、総務省は3月13日の厚生労働委員会で安藤副会長の質問に答え、2017年度の繰入金総額は8,083億円であると答弁している。

指標に基づく検証を求める
 続いて安藤副会長は、地域医療構想調整会議において、同一地域で、同一規模で同様の医療機能を行う公立病院と民間病院が存在する場合に、どのように役割分担すべきかを質問した。
 これに対し厚生労働省の大口善德副大臣は、「公立・公的医療機関には民間病院では担えない医療機能に重点化するよう、その機能を見直し、具体的対応方針を策定した上で調整会議において合意形成を図ることを求めてきた」と答弁。今後、診療領域ごとに診療実績等の指標を設定し、公立・公的医療機関の役割が公立・公的医療機関でなければ担えないものに重点化されているかを検証する考えを説明した。
 安藤副会長は、政策医療の提供体制について、収支を含めた指標に基づく議論を調整会議の場で行っていくべきだと述べるとともに、「自治体が政策医療を公的医療機関からも民間病院からも公募できるようなイコールフッティングの仕組みをつくることも重要」と提案した。
 厚労省の吉田学医政局長は、診療実績等の指標を活用し、公立・公的病院の機能の重点化に向けた議論を各地で促したいと述べるとともに、重点化した後の医療機関を誰が担うかについては、いわゆる不採算医療をどう担保するかを含め、地域の実情や個々の医療機関の機能を踏まえて地域で議論が進むようにしたいと答えた。

 

全日病ニュース2019年6月1日号 HTML版

 

 

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