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ホーム全日病ニュース(2019年)第953回/2019年12月1日号効果があり、重要な取組みと考えられる業務を職種別に例示

効果があり、重要な取組みと考えられる業務を職種別に例示

効果があり、重要な取組みと考えられる業務を職種別に例示

【厚労省・タスクシフト検討会】医師労働時間短縮計画に記載 2019

 厚生労働省は11月20日、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会(永井良三部会長)に、病院が医師から他職種へのタスク・シフト等に取り組む上で、時間短縮効果や業務実態を踏まえ、重要と考えられる業務を職種別に例示した。2024年度から適用される医師の時間外労働規制の特例であるB、C水準(年間1,860時間)の病院が策定する医師時間短縮計画に記載する事項として位置づける。ただ、具体的にどれを選択するかは病院の判断となる。
 厚労省の例示に対しては、委員から概ね賛同を得た。今夏に30の医療関係団体・学会からヒアリングにより、提案・要望のあったものから現時点で選んだもので、他に整理中の業務もあり、引続き議論する。年内にまとめ、通知を出す予定だ。
 以下で、職種ごとに業務を示すが、その中には、一定の研修を行う必要がある業務も含まれる。また、現行制度で実施可能の業務は「○」、現行制度で明確に示されていない業務は「△」を付記する。
■看護師(○包括的指示の有効な活用、○特定行為、○定型的血液検査等の指示の代行入力、○外来でのワクチン接種、△患者に対する放射線治療についての説明・相談。抗がん剤治療中や放射線治療中の患者の検査オーダーについては、事前に合意されたプロトコールに基づいて実施)
■助産師(○院内助産、○助産師外来)
■医師事務作業補助者(○患者への説明(検査手順説明、入院説明、同意書の取得等)、○電子カルテの記載(診断書、入退院サマリー、各種パスの代行入力等)、○各種書類作成等事務業務(申請書等の草案作成、診療データ入力・解析、統計作成、当直表作成等))
■薬剤師(○術前服薬指導(持参薬の入力等含む)、○薬物療法のモニタリングの実施とその結果に伴う処方内容の見直しの提案)
■診療放射線技師(△医師の包括的指示に基づき、撮影部位の確認と追加撮影オーダーを診療放射線技師が実施する、△血管造影・IVR 診療の補助行為)
■臨床工学技士(△全身麻酔装置使用に伴う麻酔作動薬や循環作動薬、輸液を投与する行為)
■臨床検査技師(△心臓・血管カテーテル検査における超音波検査等の検査のための装置の操作等)
■義肢装具士(△医師の指示に基づく、断端形成、潰瘍部の免荷、ギプスの介助等)
■言語聴覚士(△医師の包括的指示に基づく嚥下検査の実施)
 全日病会長の猪口雄二委員は、タスク・シフト等のあり方として、「医師の業務の一部を看護師が担う。すると、看護師の業務が増え、看護補助者が必要になる。しかし、看護補助者あるいは医師事務作業補助者は人手不足で集まらない、雇っても定着しない問題がある。タスク・シフトを行ってもシフトされた方の業務が増えないウィン・ウィンの方法を考える必要がある」と述べた。
 その上で、現行制度上実施可能かどうか明確に示されていない業務の中で、「例えば、薬剤師が病棟内でプロトコールに基づいた投薬(医師の包括的指示と同意がある場合には医師の最終確認・再確認を必要とせず実施する)をすることは、医師にその都度、指示を求める手間が省け、効果的だ」と主張した。他の委員からも賛同する意見が出た。厚労省は、どのような病院で実施可能かを整理し、効果を推計した上で、重要な業務に位置づけるかを判断するとの考えを示した。
 厚労省は今回、「現行制度上実施可能な業務」と「現行制度上実施可能かどうか明確に示されていない業務」の全体を整理している。
 その中から、医師の労働時間を短縮する観点で、効果が大きい業務を拾ってみると、「現行制度上実施可能な業務」では、「妊産婦の保健指導業務」(助産師・月44時間)、「看護師が状況を即座に見極め、医師が予め指示した状態像に該当するかを判断して、指示されていた検査の代行入力」(看護師・月52.5時間)、「特定行為とは別の侵襲性の低い医行為で病棟・在宅・介護施設等における包括的指示モデルを示し看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるようにする」(看護師・月25.0時間)などがある。
 「現行制度上実施可能かどうか明確に示されていない業務」では、「視力測定、眼圧測定(非接触)、視野検査、色覚検査」(臨床検査技師・月16.7時間)などがある。

 

全日病ニュース2019年12月1日号 HTML版

 

 

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