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ホーム全日病ニュース(2019年)第953回/2019年12月1日号複数医療機関による訪問診療料の要件見直し

複数医療機関による訪問診療料の要件見直し

複数医療機関による訪問診療料の要件見直し

【中医協総会】在支病の24時間体制の医師要件は明確化

 中医協総会は11月6日、在宅医療をテーマに議論を行った。在宅医療の診療報酬に関し、現場の状況を踏まえた改善や要件の適正化を実施する方向になった。11月13日は医療技術の評価などをテーマとしている。
 在宅医療に関しては、2018年度改定で、複数の疾患を持つ在宅療養患者のため、対応できない診療科がある場合に、複数の医療機関が、1人の患者に対する在宅患者訪問診療料を算定できるようにした。2018年度以降の状況をみると、複数診療科での算定は増えているが、一部の医療機関で医療機関同士の情報共有を行っていないことがわかった。このため、情報共有を在宅患者訪問診療料の要件化とすることが論点となった。日本医師会の松本吉郎委員は、「情報共有を行うことがインセンティブになるような評価が必要」と述べた。また、依頼された他の診療科の医療機関が患者を訪問診療できる6カ月以内の制限は緩和を検討する。
 在宅療養支援病院の体制については、当直医師と往診のための医師が2人、24時間院内にいなければならないと解釈されている。しかし、往診のための医師は必ずしも院内にいる必要はなく、オンコールで対応して構わないことから、在支病の基準を明確化する。
 医療資源が少ない地域での緩和措置では、在支病などの人員配置基準の緩和が論点となったが、診療側・支払側両者から、慎重な意見を表明する委員が多かった。現行では、許可病床数での緩和措置があるが、「人が確保できない」との意見が出ている。
 在宅患者訪問褥瘡指導管理料については、現行では、初回カンファレンスを行って、その後、計画的な指導管理を医師、看護師、管理栄養士がそれぞれ月1回以上実施し、概ね3カ月後の評価カンファレンスが実施されるまで、算定することができない。
 短期で褥瘡が治癒する場合を症例も増えていることから、現行で評価のない初回時カンファレンスの段階での報酬を設けることを検討する方向で、概ね合意を得た。報酬全体の水準は管理料全体で調整される見込みだ。医療技術の新たなエビデンス再評価のため研究班を設置へ
 13日の総会では、費用対効果評価を含めて、高額な医療技術の新たなエビデンスを再評価するため、研究班を設置することで合意した。
 新たな医療技術を保険適用する場合、基本的には既存の医療技術と有効性・安全性が同等であれば、同等の診療報酬の評価を行う。一方、保険適用後に新たなエビデンスが確認された場合の再評価の仕組みは明確になっていない。
 多くの先進国では、医療技術を再評価する評価機関がある。日本でも諸外国の事例を参考にしつつ、中立的な立場で専門的な評価が行える体制を検討する。医薬品や医療機器については、費用対効果評価の仕組みを整備し、今年度から本格的な運用が始まっている。しかし、手術など医療技術は、個別性が大きいため、一律に評価基準を設けることが難しく、別に検討することになっていた。
 また、診療報酬では、医療技術の要件に関連学会のガイドラインに依拠することを求める項目がある。しかし、現状で最新のガイドラインを参照しているかなどの確認が行われていない。ガイドラインは改訂後、1年間は非公開との規定もある。厚生労働省は今回、安定冠動脈病変に対する経皮的冠動脈ステント留置術などにおいて、ガイドラインが適切に運用されていない事例があることを示し、診断における適正化の必要性を指摘した。ガイドラインについては、一般に参照可能とする対応を整える方向だ。
 小児に対する在宅呼吸管理の診療報酬の評価を成人よりも高くするとの考えで概ね一致した。在宅人工呼吸指導管理料(2,800点)は小児も成人も同等の評価となっている。しかし、小児の場合は、呼吸の苦しさを自ら訴えることができないため、24時間のモニタリングの必要があり、その機器の費用が管理料に包括されている。小児と成人で一律の評価は馴染まないとの意見に異論は出なかった。
 在宅自己導尿については、コストが高いが尿路感染症のリスクを下げる「親水性コーティング付きディスポーザブルカテーテル」が適切に選択されることや、現行の評価体系が複雑であることなどを踏まえ、材料費用を含む指導管理料や材料加算を見直すとの論点が示された。
 個別技術の評価では、現場の実態や最新の診療ガイドラインなどを踏まえ、適切な治療を選択する上で、現行の診療報酬と齟齬がある場合に見直しを図る。具体的には、◇下肢静脈溜◇重症急性膵炎に対する急性血液浄化療法◇網膜中心血管圧測定─の状況が示され、各個別技術に応じた対応を図る方向となっている。

 

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全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2013年7月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2013/130715.pdf

    有病率、入院時褥瘡保有率、院内褥瘡. 発生率が低い、(3)入院時褥瘡保有率は ... は
    ない。治癒に対するインセンティブ. を考えた方がよい」など、より全体的 ..... 厚労省 往診
    や看取り実績を重視した在支診・在支病評価を提起. チーム医療推進方策検討WG.

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年5月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190501.pdf

    2019年5月1日 ... 複数の医療機関で24時間の往診体制を. 確保する評価や2カ所目の医療機関 ... など)
    」、「認知症」、「皮膚疾患(褥瘡. 等)」、「歯科・口腔疾患」が ...... 全世代型社会保障
    における予防・健康インセンティブを検討. 全日病研修セミナー. 未来投資 ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2013年7月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2013/130701.pdf

    インセンティブを損なわないかたちで. 広域化していくべきかと考える。 遠藤会長代理
    基本的には ... が往診カバンを持って往診をする姿を. イメージする人が多いかもしれ
    ない。 ...... い、(2)同褥瘡患者管理加算の取り扱. い、(3)算定回数の少ない加算項目
    の.

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