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共用試験ＣＢＴ、ＯＳＣＥとStudent Doctorを公的化

【医道審・医師分科会】報告書を大筋で了承。来年の法改正目指す

　医道審議会・医師分科会（中谷晴昭分科会長）は11月20日、シームレスな医師養成に向け、共用試験の公的化といわゆるStudent Doctorを法制化する報告書案を議論した。大筋で了承したが、文言修正等があり、再度分科会を開く。来年の通常国会での法改正を目指し、その後、実際の運用のための議論を開始する方向になっている。
　報告書は、医師を養成する上で、卒前教育と卒後教育に分断があり、一貫した養成の仕組みを求めている。最近では、共用試験CBTで一定の知識や質を確認できることから、2017年度の第112回医師国家試験以降、出題数を500問から400問に減らした。臨床研修では2020年度から、医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標・方略・評価が実施される。
　卒前教育における臨床参加型臨床実習は、医師でない医学生が一定の医行為を行っても、違法にはならないとの解釈がされているものの、「十分に定着していない」。時間や労力、安全性など様々な理由が指摘されるが、今後推進を目指す上で、法的な位置づけを整える必要があるとされた。
　現状で、共用試験CBTは全大学で実施され、問題の制度管理や評価手法は確立している。共用試験臨床実習前OSCEも、臨床実習前に技能と態度を試験する手段として確立している。共用試験後に臨床実習を行う医学生は、一定の水準が公的に担保されると認められることから、医行為を行うことのできるStudent Doctor と位置づけることができる。このことから、２つの試験を公的化し、Student Doctorも国が認める資格として制度化する。
　実際に行われる医行為は、診療が臨床現場で日進月歩していることを鑑みると、個別に定めることは適当でなく、「指導する医師が適宜、医学生の能力と患者の状態等を勘案して判断すべきもの」とした。ただ、現状では、いわゆる門田レポートで整理された考え方や医行為が、実際に行われるものとして想定される。
　Student Doctorの医行為が法的に認められても、常に医師の指導監督下で行われることが原則だ。臨床実習する場所は、大学病院以外の指導体制が十分に整った他の病院も想定されている。また、医学生に対しては、医陪責保険などに加入することを強く推奨する。
　共用試験とStudent Doctorの公的化による影響としては、知識や技術だけでなく、診療チームの一員としての主体性を持ち、全人的な診療に必要な視点を得る機会となることを期待する。また、医師の働き方改革との関係では、医師免許取得後の臨床研修で初めて行っていた医行為が前倒しされることで、一部負担軽減になることが見込まれる。診療科偏在の是正に対する効果も期待する。