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ホーム全日病ニュース(2020年)第974回/2020年11月1日号初診を含めたオンライン診療を原則解禁へ

初診を含めたオンライン診療を原則解禁へ

初診を含めたオンライン診療を原則解禁へ

【田村厚労相】安全性と信頼性がベース。映像は求める方向に

 田村憲久厚生労働大臣は10月9日の閣議後会見で、オンライン診療について、「安全性と信頼性をベースに、初診を含めたオンライン診療を原則解禁する」との見解を示した。10月8日に、河野太郎・行政改革担当大臣、平井卓也・デジタル改革担当大臣との三大臣で合意した内容。ほかに社会保険診療報酬支払基金の業務効率化を進めるため、システムのクラウド化を図る方針も確認している。
 医療は対面診療が原則であるが、一定の条件の下で、オンライン診療が実施されている。一定の条件は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定めている。ICTの発展・普及を踏まえ、定期的に見直すことになっている。一方、コロナ禍において、オンライン診療を特例的に緩和している。
 特例では、指針では認めていない初診からのオンライン診療を可能としている。特例のオンライン診療での初診料は214点で、通常の288点より低く設定した。また、特例の診療報酬は、基本的に電話等再診料の枠組みで整理しており、実際の利用でも、画像を伴うオンライン診療よりも、電話による対応が多いとの結果が出ている。
 田村厚労相は、この状況について、「当初は、コロナ禍で医療機関に行くことを非常に恐れる方々がいた。医療機関に行かないよりは、電話を含めて対応ができればよいと考えた」と述べ、本来は望ましくないが、緊急事態であったがゆえの対応であったことを強調した。
 その上で、「今回の話は正常時に戻ったときの対応として、安全性・信頼性を確保し、利便性の高いオンライン診療のルールを検討するもの」であるとした。その際に、「医師がより多くの情報を得るためには、映像の方が安全であろう」と述べ、電話のみによる初診はオンライン診療に含めないとの見方を示した。
 「眼科の診療で電話のみでどれだけの情報が得られるか。情報を得ることを考えれば、これは限られてくる」と田村大臣は例示し、対面受診で得られる情報を代替できる条件を今後検討していく必要があるとした。
 限られた情報で診断ができるかが重要なポイントになると指摘し、「例えば、薬に関し間違えた診断で処方することによって起こる副作用というのは、非常に恐ろしいものがある。そういうことを踏まえて検討する」と述べた。

現状の特例を見直し「恒久化」
 特例のオンライン診療の「恒久化」は、菅義偉内閣発足時に、田村厚労相が菅首相から受けた指示の一つだ。その後、10月7日に開催された規制改革推進会議の審議事項では、時限的措置の「恒久化」が明記された。翌日、三大臣合意がなされている。
 菅首相からは、特例的な措置の「恒久化」の指示がある一方で、田村厚労相は三大臣合意により、「初診を含めオンライン診療を原則解禁する」と会見で述べている。
 これについて、田村厚労相は、さらに説明しており、現状の緊急避難的な特例的な対応のうち、「どこまでなら大丈夫なのかを検討する」と発言している。また、「一から作ると時間がかかる」ので、特例を見直す形での「恒久化」であるとした。今後さらに三大臣で、オンライン診療の仕組みの詳細を詰めていくとの考えを示した。

 

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