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ホーム全日病ニュース(2020年)第974回/2020年11月1日号第4期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論がスタート

第4期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論がスタート

第4期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論がスタート

【がん対策推進協議会】喫煙や飲酒、がん検診などをテーマに議論

 厚生労働省のがん対策推進協議会は10月16日、第4期がん対策推進基本計画の策定に向けた議論を開始した。今後、第3期計画の中間指標の結果を検証し、中間評価報告書を作成した上で、第4期計画への課題を抽出する。
 中間評価報告書は、新型コロナの影響で当初の予定が遅れたため、日程を調整中であり、来年中にまとめるとしている。会長には、山口建・静岡県立静岡がんセンター総長が選出された。
 がん対策推進基本計画は、2006年に成立したがん対策基本法に基づき、2007年6月から第1期の計画がスタートした。計画期間は5年。第3期では、①科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実②患者本位のがん医療の実現③尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築を全体目標としている。
 同日は、分野別のがん予防対策のうち、「がんの1次予防」、「がんの早期発見、がん検診(2次予防)」がテーマとなった。
 1次予防では、喫煙や飲酒に対する対策を議論した。
 喫煙については、改正健康増進法が今年4月に全面施行され、飲食店などが一部を除き、全面禁煙になった。厚労省の当初案よりも、法律が禁煙対策として後退したとの意見もあるが、正林督章健康局長は、「新規の店舗は全面禁煙であり、飲食店は2年で2割ぐらい入れ替わるので、段々と全面禁煙が増えると期待できる」と説明した。
 また、20歳未満の者を喫煙できる室に立ち入らせてはいけないとの規定の影響は大きいと述べた。これらの対策の効果を今後検証し、第4期計画につなげる考えだ。
 飲酒については、生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている者(ハイリスク飲酒者)の割合を下げることが、中間評価指標に盛り込まれている。委員からは、「飲酒は喫煙ほど国民にリスクが認識されていない。アルコール依存症とあわせ、ハイリスク飲酒者への対策を強化すべき」との意見が出た。
 2次予防では、がん検診の受診率や精度管理の向上に関して、中間評価指標が設けられている。委員からは、「女性や障害者のがん検診受診率の割合が、男性より低い」、「職域でもがん検診が義務ではなく、企業の規模や職種で格差がある」などの指摘があり、精度管理の向上とともに、早期発見に結び付くがん検診の改善策が求められた。
 また、厚労省がHPVワクチンの新たなリーフレットを作成したことが報告された。接種対象者や保護者が、接種をするかの判断ができるように、自治体が個別送付するとしている。情報提供に当たっては、積極的な勧奨とならないよう留意するとした。
 委員からは、「今後何かデータが示されれば、積極的な勧奨をしてよいことになるのか」との質問があった。厚労省は、「当面、新たなデータを示すことは考えていない。積極的な勧奨をするためには、国民の理解が必要だと思っている」と回答するにとどめた。

 

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