全日病ニュース

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年頭の挨拶

年頭の挨拶

公益社団法人 全日本病院協会 会長 猪口雄二

 2021年の年頭にあたり謹んでご挨拶申し上げます。
 皆様におかれましては、旧年中は大変お世話になり、心より御礼申し上げます。
 2017年6月に会長に就任して以来、会員の皆様方のご意見を踏まえつつ、組織の強化に取り組んでまいりました。私事でございますが、昨年6月には日本医師会の副会長に選任され、本会会長と日本医師会副会長の職を兼務させていただくことについて、理事会でご了承いただきました。これまで以上に身を引き締めて、山積する様々な課題に取り組んでまいりたいと存じます。
 さて、昨年は全ての医療機関が新型コロナウイルスという新興感染症への対応を迫られる年でありました。新型コロナウイルスについては、日本での感染確認が認められて以来、ウイルスに係る治療方法や対処方法が明らかではない中において、全ての医療従事者が未曾有の感染症との闘いに勇敢に立ち向かっていただきました。ここに改めて敬意を表したいと思います。
 特に急性期の病院は、経営面で非常に大きなダメージを受ける中で、未だ収束の見通しが立たない新型コロナへの対応に尽力していただいております。当然のことながら、新型コロナ対応病院をサポートする周辺の医療機関においても、収入減が続く中で、新型コロナ以外の救急患者の受入や既存の入院患者の転院受入など、それぞれの形で役割を果たしていただいています。
 これら全ての医療機関の頑張りに対して、国においても2020年度第1次・第2次補正予算において緊急包括支援交付金等により、物資を含めて医療機関への様々な支援事業を実施していただきました。しかしながら、これらの支援について、まだ医療現場の手元に十分に行き渡っているとは言えない状況であり、速やかな支援金の支給と医療機関への更なる支援を求めていきたいと存じます。
 新型コロナの影響により、国の審議会等も延期や中止が続きましたが、昨年秋以降順次再開され、遅れを取り戻すべく急ピッチで議論が進められています。
 医療提供体制に関しては、地域医療構想、医療計画、医師の働き方改革、医師需給・偏在対策等の課題について議論が再開されています。医療計画においては、今般のコロナ禍を踏まえて新興感染症等への対応を記載事項として追加することになりました。当然のことながら地域医療構想についてもコロナを踏まえた見直しが必要であると考えています。更に地域における外来機能の明確化・連携を図るための外来機能報告の義務化の議論も進められています。
 また、後期高齢者の窓口負担割合を一定以上の所得がある方については2割とすること、紹介状なしで大病院を受診する患者の初・再診については、対象医療機関が拡大されるとともに、一定額を保険給付範囲から控除し同額以上に定額負担の額を増額することが昨年12月に全世代型社会保障検討会議の方針として閣議決定されました。
 更に本年は初めての診療報酬改定中間年での薬価改定も予定されています。いずれの改革も病院経営に大きな影響を及ぼすものであり、とりわけ新型コロナにより大きなダメージを受けている民間病院にとって存立にかかわる事態も懸念されますが、全日病としても組織をあげて、日本医師会や他の病院団体と協同し、引き続きこれらの改革に対応していく所存です。
 本来であれば、昨年9月には第62回全日本病院学会in岡山が開催される予定でしたが、コロナの影響により、今年8月に延期されました。岡山県支部長である佐能量雄学会長をはじめ関係者の皆様方には、大変なご苦労をおかけしておりますが、新たな形での素晴らしい学会が開催されるものと、改めて期待をしているところでございます。学会が開催された折には、皆様方からの多数のご参加を心よりお願い申し上げます。
 全国の病院数は昨年9月末時点で8,243と年々減少しておりますが、当協会は、年々会員数が増えており、昨年11月現在の会員数が2,546と日本で最大の病院団体です。
 今後のウイズコロナの時代を見据えて、健全な病院経営、質の高い医療提供体制を構築するために、執行部一同、そしてすべての会員とともに、一致団結して日本の医療、地域医療を支える病院団体として活動していく所存です。
 本年も、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

全日病ニュース2021年1月1・15日合併号号 HTML版