全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2021年)第989回/2021年7月1日号医療機関での薬剤師の卒後研修を実施すべき

医療機関での薬剤師の卒後研修を実施すべき

医療機関での薬剤師の卒後研修を実施すべき

【厚労省・薬剤師養成等検討会】将来的な薬剤師数は過剰になると指摘

 厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」(西島正弘座長)は6月16日、薬剤師教育の質の向上などを求める提言のとりまとめ案を大筋で了承した。同日の意見を受けて報告書案を修正し、厚労省はとりまとめを近日中に公表する。医療機関での薬剤師の卒後研修の実施を検討すべきであると提言した。
 とりまとめ案では、2045年までの薬剤師の需給推計の結果を踏まえて、薬剤師の供給は将来的には需要を上回り、薬剤師数が過剰になると指摘した。薬剤師業務の充実と資質向上に向けた取り組みが行われない場合は需要が減少するため、供給との差がいっそう広がるとの見通しを示している。
 その予測を前提に、今後は大学の薬学部・薬科大学の入学定員数の抑制も含めて、適正な定員規模を早急に検討することを提案した。
 文部科学省の担当官は、「薬学教育の質の向上への対応が必要である。入学定員の抑制も含めた適正な定員規模のあり方や仕組みなど、具体的な対応を早急に検討したい」と述べた。
 薬剤師の需給に関してとりまとめ案では、業態や地域による偏在を解消するための取り組みも必要であると指摘した。特に病院薬剤師の確保が大きな課題であるとして、病院ごとに必要な薬剤師数や業務の情報を把握した上で、需給推計や確保対策を考える必要があるとしている。
 薬剤師の業務については、現状は医薬分業の意義が十分に果たせていないことを指摘した。今後は、対人業務を充実させる一方、機械の技術革新なども踏まえ、対物業務は効率化すべきとした。
 薬剤師の資質向上に向けては、免許取得直後に医療機関や薬局で臨床研修を行うことが有効とした。特に、医療機関での薬剤師の卒後研修の実施を検討すべきであることを提言している。

 

全日病ニュース2021年7月1日号 HTML版