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ホーム全日病ニュース(2021年)第991回/2021年8月1日号がん診療連携拠点病院の指定類型の変更を了承

がん診療連携拠点病院の指定類型の変更を了承

がん診療連携拠点病院の指定類型の変更を了承

【厚労省・がん拠点病院指定検討会】石巻赤十字病院などを「特例型」に格下げ

 厚生労働省のがん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会(藤也寸志座長)は7月15日、がん診療連携拠点病院の指定類型の変更を了承した。がん診療連携拠点病院の基準を満たせず、「特例型」に格下げとなるのは4病院。格下げの指定年限は2022年度までとなっている。また、基準を満たさないが、勧告にとどまる病院は5病院となった。
 今回の指定類型の変更にあたり、厚労省は、基準を満たせなかった項目に関して、新型コロナの感染拡大による影響は認められないと説明した。
 なお、「特例型」は、2019年より前に指定された拠点病院で、指定要件の充足状況が不十分であると判断された場合に、経過措置として設けている指定類型である。
 石巻赤十字病院(宮城県)は専従常勤病理診断医の不在により基準を満たせず、地域がん診療連携拠点病院の「高度型」から「特例型」への変更になる。「高度型」から「特例型」への変更は、「一般型」を挟んで、2段階格下げだ。
 委員からは、「要件を満たした場合に、『高度型』に戻すのか、『一般型』になるのか。いきなり戻すのではなく、一段階ずつ上げていくべき」との意見が出た。一方で、「病理診断医は元々少なく、地域偏在もあり、今後も大きく増える見込みはない。病理診断医の退職の度に、このようなことが起こるのは望ましくない。病理診断は遠隔での対応も進んでいるので、要件においても何らかの対応を考える必要がある」との提案があった。
 「一般型」から「特例型」になるのは、公立藤岡総合病院(群馬県)、東海大学付属八王子病院(東京都)、南和歌山医療センター(和歌山県)の3病院。基準を満たせない項目はそれぞれ、「専従院内がん登録中級者」、「医療安全研修の受講」、「専従院内がん登録中級者」となっている。
 一方、秋田赤十字病院(秋田県)は「特例型」だったが、専従放射線治療医の基準を満たし、地域がん診療連携拠点病院に復帰する。
 勧告を受けた病院は5病院で、都道府県がん診療連携拠点病院である茨城県立中央病院(茨城県)と山梨県立中央病院(山梨県)、地域がん診療病院である、みやぎ県南中核病院(宮城県)、県立大島病院(鹿児島県)、高島市民病院(滋賀県)となっている。
 都道府県がん診療連携拠点病院は、都道府県に原則1病院整備される中核的な病院であるため、指定取り消しになることへの影響が考慮された。地域がん診療病院についても、当該医療圏が空白の医療圏になることが考慮され、勧告にとどめた。
 検討会の冒頭で、正林督章健康局長は、「がん診療連携拠点病院については、日本全国のがん診療に地域格差があることを踏まえ、それを是正し、均てん化を進めるために制度化した。がん診療の底上げを図ることが目的だ。その後、かなりのスピードで指定進み、相当な数になった。しかし、拠点病院の数は増えたが、『名ばかり』『看板だけ』の拠点病院があるとの指摘を受け、要件を厳格化し、満たさない病院は外すという作業を始めた。2018年にも医療安全、技術の推進の観点を踏まえ、厳格化の見直しを行っている」と説明した。

 

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