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ロナプリーブを医療機関に譲渡

ロナプリーブを医療機関に譲渡

【厚労省・事務連絡】コロナ治療薬の特例承認受け

 厚生労働省は7月20日、「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬『カシリビマブおよびイムデビマブ』の医療機関への配分について(依頼)」を事務連絡した。新型コロナ感染症の患者に対する治療薬である「カシリビマブおよびイムデビマブ」(販売名:ロナプリーブ点滴注セット)が、7月19日に特例承認されたことに伴うもの。全世界向けの供給量が多くなく、日本への流通量も限られる。このため厚労省が製造販売者から直接提供を受け、一般流通は行わず、医療機関の依頼に基づき、無償で譲渡するという方法を用いる。
 「カシリビマブ(遺伝子組換え)およびイムデビマブ(遺伝子組換え)」の販売名は「ロナプリーブ点滴静注セット300、同点滴静注セット1332」、申請者は中外製薬。効能・効果は「SARSCoV-2による感染症」で、「SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者が対象」。感染症の症状が発現してから速やかに投与する。発症から8日目以降に投与を開始した患者に対する有効性を裏付けるデータは得られていない。
 現状で、安定的な供給が難しいことから、当面の間、重症化リスクがあるとして、入院治療を必要とする者が投与対象者となる。このため、ロナプリーブの供給を受けることのできる医療機関は、投与対象者を入院患者として受け入れている病院・診療所とする。
 想定される重症化リスク因子については、「50歳以上」、「肥満」、「心血管疾患」、「慢性肺疾患」、「1型または2型糖尿病」、「慢性腎障害」、「慢性肝疾患」、「免疫抑制状態」などをあげている。これらに該当する者で、医師が必要と判断した者とする。
 ロナプリーブを希望する対象医療機関は、厚労省がロナプリーブの供給を委託した製造販売業者が開設する「ロナプリーブ登録センター」に登録し、同センターを通じて、配分依頼を行う。対象医療機関には無償譲渡される。当面の間は「ロナプリーブ点滴静注セット1332」が配分されるとしている。
 「ロナプリーブ点滴静注セット1332」には、2回投与分の溶液が含まれる。1回分の溶液を抜き取った後のバイアルは、室温(25度まで)で最大16時間、または2~8度で最大48時間保存可能であり、最大保存期間内で2症例目に使用することができる。その際、「配分依頼時には使用予定のなかった2症例目に使用した場合および使用せずに廃棄した場合は、必ずロナプリーブ登録センターに登録」することを求めた。
 事務連絡では医療機関向けに、質疑応答集を添付した。無症状者には投与できないことや、入院患者が対象であるため、「高齢者施設や自宅、ホテル療養中の患者」には投与できないことなどを示した。

 

全日病ニュース2021年8月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連通知、事務連絡一覧 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/novel_coronavirus/pdf/200508_3.pdf

    2020/04/06 ... カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)」につ. いて、 当該 ... 2021/7/2. 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱. いについて(その50). (厚生労働省保険局医療課:R3.7.2).

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