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ホーム全日病ニュース(2021年)第991回/2021年8月1日号疾患別リハのアウトカム評価や敷地内薬局めぐり議論

疾患別リハのアウトカム評価や敷地内薬局めぐり議論

疾患別リハのアウトカム評価や敷地内薬局めぐり議論

【日病協・代表者会議】次期診療報酬改定に向けた議論の本格化受け意見交換

 日本病院団体協議会は7月16日に代表者会議を開き、最近の医療情勢をめぐり意見交換を行った。中医協で2022年度診療報酬改定に向けた議論が本格化したことから、7月7日、8日、14日に開催された中医協の論点に関し、議論が行われた。特に、回復期リハビリテーション病棟などにおける疾患別リハビリテーションの評価や敷地内薬局の是非について多くの意見があった。
 回リハ病棟や地ケア病棟のリハビリの状況については、入院医療等の調査・評価分科会で分析されている。厚労省がさまざまなデータを示し、一定の方向性を持たせた論点を提示するが、データの中には、母数が少なく、根拠に乏しいと考えざるを得ないデータがある。また、回リハ病棟のアウトカム評価であるFIM(機能的自立度評価表)の実績指数で効果を判定しているが、一つの指数だけで効果を判定することの妥当性を問う意見があった。
 日本リハビリテーション病院・施設協会会長の斉藤正身議長は会見で、「リハビリの効果は、FIM だけでは測れない。むしろ、患者との関わり方を含めたリハビリのプロセスを全体として評価してほしい」と述べた。ただ、日病協でも、リハビリの評価のあり方について、明確には整理されていないとして今後、議論したいとの考えを示した。
 敷地内薬局については、さまざまな問題が含まれていることの説明が、日本私立医科大学協会参与の小山信彌副議長からあった。小山副議長は、地域の薬局を評価する調剤報酬が設定された結果、患者負担としては、地域の薬局が最も高く、門前薬局や敷地内薬局で低くなってしまい、患者にとって、逆のインセンティブが働いてしまっているとした。また、病院の近くで医薬品が調剤されることは、患者にとってのメリットも大きいことから、医療政策としてちぐはぐになってしまっている現状を指摘した。
 また、薬剤師の給与が病院よりも薬局のほうが高い傾向にあり、病棟薬剤師が病院で十分に確保できない背景に、医科・歯科・調剤の財源配分で、調剤報酬を充実させてきた経緯があるとし、病院で病棟薬剤師を確保するために、診療報酬での対応が必要との考えを示した。
 「敷地内薬局を設置するなら、院内薬局に戻せばよい」との意見に対しては、病棟での薬剤師の業務が期待されている中で、調剤業務中心のかつての業態に戻ってしまうことは問題との意見も出ているという。
 また、病院代表として、日病協が推薦する中医協委員である島弘志・日本病院会副会長と池端幸彦・日本慢性期医療協会副会長について、次期任期も引き続き推薦することを了承した。日病協では2年ごとに中医協委員を評価し、問題がなければ、3期6年の任期を委ねることにしている。
 中医協の分科会である医療機関等における消費税負担に関する分科会の病院代表委員については、伊藤伸一・日本医療法人協会会長代行と川瀬弘一・日本私立医科大学協会(大学病院の診療報酬に関する検討会委員)を推薦することを決めた。日本医療機能評価機構の産科医療補償制度運営委員会の委員については、中村康彦・全日病副会長が推薦された。

 

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