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ホーム全日病ニュース(2022年)第1016回/2022年9月1日号看護職員処遇改善評価料の新設を答申

看護職員処遇改善評価料の新設を答申

看護職員処遇改善評価料の新設を答申

【中医協総会】165通りの点数を設定し、最高点は340点

 中医協(小塩隆士会長)は8月10日、厚生労働大臣から諮問された「2022年度診療報酬改定(看護の処遇改善)」を答申した。看護職員処遇改善評価料を新設し、165通りの点数を設定する。最高点は340点となった。9月中旬に関係法令を発出し、10月から実施する。
 前回の8月3日の資料で、看護職員処遇改善評価料の概要は示されていたが、今回、同日の議論を踏まえ、点数について、中医協として合意した。
 看護職員処遇改善評価料は、地域で新型コロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、2022年10月以降収入を3%程度(月額平均1万2,000円相当)引き上げるために新設した。
 なお、今年2月から、対象者も同一である看護職員等処遇改善事業補助金により収入の1%程度(月額平均4,000円相当)の処遇改善を実施しているため、実質的には8,000円相当の引上げとなる。
 看護職員処遇改善評価料の施設基準は、①救急医療管理加算を届け出ている医療機関であり救急搬送件数が年間200件以上②救急医療対策事業実施要項に定める「救命救急医療センター」、「高度救命救急センター」、「小児救命救急センター」を設置している医療機関であること。2020年度の病床機能報告データによると、2,812施設が該当する。
 賃金改善措置の対象者は、当該医療機関に勤務する看護職員等であり、看護補助者や理学療法士、作業療法士、その他コメディカルである職員(非常勤を含む)も対象に加えることができる。看護職員等とは、保健師、助産師、看護師、准看護師としている。
 その他コメディカルである職員としては、視能訓練士、言語聴覚士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、保育士、救急救命士、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師、公認心理師、「その他医療サービスを患者に直接提供している職種」をあげている。ただし、薬剤師は含まれない。

過不足を小さくする対応を図る
 処遇改善の原資となる看護職員処遇改善評価料は、165通りの点数となった。1~ 145番目までは1~ 145点の1点刻みだが、145番目から146番目は5点刻みとなり、評価料146は150点、146番目からは10点刻みで165番目が最も高い340点となる。看護職員数に応じた必要額と診療報酬収入の過不足をできるだけ小さくするために点数設定を行った結果だ。
 点数設定を行う際に実施したシミュレーション結果では、入院料のみに点数を設定するモデルで、1~ 100点までだと全医療機関の97.7%をカバーでき、1~ 120点までにすると99.0%、1 ~ 145点までにすると99.5% をカバーできることがわかった。最新のデータ(2022年5月)である特別調査を用いたシミュレーションでは、補助金を申請した医療機関における最高点は、339点であった。
 100点を超える医療機関の特徴としては、三次救急やこども・周産期医療の専門病院が多かった。
 ただ、145点を超える医療機関のデータをみると、100床未満の小規模病院が多かった。新型コロナの影響で、一時的に患者が減少したために、高い点数を設定しないと、処遇改善の必要額が得られなくなっていたとの推測もできる。
 シミュレーションは特定の時点のデータを基にしているため、今後、処遇改善に必要となる点数は患者数や看護職員の数により、各医療機関で、変動する可能性が高い。このため、入院・外来医療等の調査・評価分科会や総会では、どこまで精緻な点数設定とするかについて、様々な議論があった。
 結果的には、特別調査での最高点である339点にも対応できる340点まで点数を設定することになった。一方で、145点を超える点数については、点数間の刻みを大きくした。
 各医療機関が算定する点数については、所定の数式に看護職員等数や入院患者数を代入し、特定の数値を得て、その数値を看護職員処遇改善評価料の区分に当てはめると、点数が与えられるという仕組みになっている(左表を参照)。

 

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