全日病ニュース

受審申込医療機関の約３割が評価センターの評価終了

【厚労省・医師の働き方改革の推進に関する検討会】日医が2024年4月までに指定できる体制求める

　厚生労働省の医師の働き方改革の推進に関する検討会（遠藤久夫座長）は10月12日、医師の働き方改革の施行に向けた進捗状況のほか、医師の勤務実態、医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査結果について報告を受けた。日本医師会に設置された医療機関勤務環境評価センターの受審状況については、約３割の医療機関が医療機関勤務環境評価センターの評価を終了したことがわかった。
　医療機関が特定労務管理対象機関の指定を受けるためには、評価センターの評価を受ける必要があるが、今年10月９日時点で受審申込件数が471件にのぼった。
　評価センターに所属する日本医師会の城守国斗構成員は、審査状況について、「３割弱の評価が終了し、残りの７割の大多数は資料の再提出、調整のやりとりをしている」と説明した上で、「都道府県の指定の期日が秋から冬にかけてというところが多いと聞いているが、評価医療機関のなかには、資料の再提出、再整備で時間がかかっている医療機関も多い。医療機関への評価には一定の時間がかかるので、締切に間に合わないことが想定される。柔軟な対応をして、2024年４月には指定できるような体制をとってもらえるとありがたい」と述べ、厚労省と都道府県に対して協力を求めた。

30医療機関が「地域医療に支障」
　医師の働き方改革の施行に向けた第４回の準備状況調査の結果が報告された。2024年６月19日から７月７日に、都道府県を通じて地域医療提供体制維持に必須となる医療機関を対象に回答を集計した結果となっている。
　それによると、①調査時点における副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間数が年通算1,860時間相当超の医師数は516人②宿日直許可の取得や医師の労働時間短縮の取組みを実施しても、2024年４月時点で副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間数が年通算1,860時間相当超見込みの医師数は83人③医師の引き揚げによる診療機能への支障が見込まれる医療機関は30医療機関―となった（図表参照）。
　委員からは、医師の労働時間短縮に関する取組みを評価する意見が多くあがる一方で、自己研鑽の切り分けの問題とともに、地域医療への影響を懸念する意見が出された。
　日本医療法人協会副会長の馬場武彦構成員は、勤務医の気づき・関心を促し、医師の働き方改革に向けた行動変容につなげるための情報発信の方法などを検討してきた「勤務医に対する情報発信に関する作業部会」の議論のまとめを受けた取組みに言及した。
　馬場委員は、「先生方の正しい理解なくして働き方改革の成功はないと思っており、この作業部会に注目してきた。肌感覚として、きちんと理解されていないと感じる部分もあるが、管理する側・される側の分断の心配は、今のところは杞憂に終わり、適切に周知されているものと理解した。本会と連携を取りながら進めてほしい。あわせて、国民に対する発信もお願いしたい」と述べた。
　厚労省は、国民への周知に関しては2023年度予算を計上しており、院内掲示用ポスターや動画の作成を進めていることを報告した。