全日病ニュース

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受審を契機に一から体制を構築する

受審を契機に一から体制を構築する

社会医療法人博愛会 開西病院 事務部部長 髙橋 義之

 当院がある帯広市は北海道南東部十勝地方のほぼ中央に位置し、面積が619.34平方キロメートルと東京23区とほぼ同じ広さで、南西部は日高山脈が占め市域の1割が日高山脈襟裳国定公園に指定されている、人口約17万人の自然豊かなまちです。また、当院が属する十勝医療圏は全国で唯一2次医療圏と3次医療圏が同じ構造で岐阜県と同じ広さを持ち1市16町2村の、合わせて19の自治体で構成され33万人が暮らしています。ただし、医療機関や介護福祉施設はどうしても帯広市に集中するため、圏域内の無医地区も17地区あり、過疎による医療提供体制の問題は当圏域内でも例外ではありません。当院ではへき地診療所を含む圏域内診療所への医師派遣や、グループ内の社会福祉法人が近隣の町村に特別養護老人ホームを開設するなど、地域包括ケアシステムの構築に尽力しています。
 当院は1996年、帯広市の隣町である幕別町出⾝の院⻑が帯広に住む人たちが、高度な治療を受けるために札幌(峠を越えて200㎞)や釧路(120㎞)の病院まで⾏くのを目の当たりにして、この地域に⾼度な医療を提供したいと思い許可病床数100床、職員数89名の整形外科とリハビリテーションの専⾨病院を開院いたしました。その年の11⽉に内科を、その後にリウマチ科と麻酔科を増設、2年後の1998年3⽉に医療法⼈社団博愛会を設⽴いたしました。そして開院から7年後には現在の東棟と北棟を増築、許可病床数は196床になり翌年外科、肛⾨外科、消化器外科、循環器内科、消化器内科の5診療科を増設、ほぼ現在と同じ病院の姿が出来上がりました。今では一般急性期から回復期リハビリテーション病棟と療養病棟、地域包括ケア病床も備え、医療・介護・福祉の連携と専門病院としての一貫した医療サービスの提供、社会復帰・在宅復帰への促進に取り組んでいます。
 実のところ当院の病院機能評価を受審するのは2度目となります。1度目は2005年4月、審査体制区分2、Ver4.1でした。それから一度も更新することなく現在に至っています。その間、電子カルテが導入されケアプロセスも大きく変わり、病院機能評価受審を知る職員も数えるほどしか残っていません。また組織も急激に大きくなったため、いたるところで不具合が生じている状況です。それでも順調に成長してきた当院ですが、3年前から始まった新型コロナウイルス感染症の影響で色々なことが不透明で曖昧になっています。
 当院も内科医師が少ない中、地域で真っ先にコロナ専用病床を14床整備。発熱外来もプレハブ診療室を設置し感染症専門医の招聘等、地域医療を守るために出来る限りのことをしてきました。また、当院だけでなくグループ内の施設でも何度かクラスターを経験し、すべてが初めてのイレギュラーな対応に追われ、歪みが蓄積されていたのかもしれません。その一方色々な診療報酬上の特例措置やコロナ交付金が実力以上に病院の収支を押し上げてきました。
 コロナが2類から5類に変わり、世の中も平常になりつつある今、当院のリアルな状況に直面して、「これはちょっとまずいな」と思っていた時、全日本病院協会から「病院機能評価受審支援モデル病院公募」のお話をいただきました。対面での研修会や学会が再開され、様々な情報に触れる機会が増えると、先進的な取り組みをしているトップランナーは背中が見えないくらい先を走っていると感じました。今回の受審をきっかけにして、一から体制を構築する覚悟で臨み、少しでもその背中に近づきたいと思っています。
 まずはアドバイザーの先生に指導いただき、自分たちの今と目指すべき姿を一緒に考え実行し、その先の認定を目指したいと思います。そして本紙面にて当院の四苦八苦する姿を、定期的にご報告させていただきます。どうか応援よろしくお願いいたします。

 

全日病ニュース2023年11月1日号 HTML版

 

 

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