全日病ニュース

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事故調査制度の大枠決まる。医療法等改正に盛り込む

事故調査制度の大枠決まる。医療法等改正に盛り込む

責任追及の過程を排除、原因究明に限定。引き続きGLの検討へ

 5月29日に開かれた「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は医療事故調査の仕組みの大枠で合意した。関係者の責任追及・紛争対応という要素を排除、原因究明・再発防止という目的に限定した、医療機関の自律性に依拠した事故調査のスキームが初めて制度化される。

詳細は次号

 

事故調査制度の大枠決まる。医療法等改正に盛り込む

▲飯田常任理事(右端)は医療事故調査制度の仕組みとりまとめを原則的に支持した

 

 検討部会で合意にいたった仕組みの骨子は、概ね以下のとおり。
①診療行為に関連した予期しない死亡事例は、第3者機関に届け出た上、自らの負担で院内調査を行なう。
②調査結果は遺族に開示、かつ、第3者機関に報告する。
③院内調査には原則として外部の医療専門家を加える。また、外部から支援する組織の登録体制をつくる。
④第3者機関は院内調査結果の検証・評価、再発防止策の普及・啓発等を行なう。
 (再発防止のために行なわれるもので、過失を認定するためではない)
⑤第3者機関は、院内調査の結果に納得が得られなかった医療機関・遺族から申請があれば調査を行なう。
⑥第3者機関は全国1つの民間組織とし、調査案件ごとに各県の支援組織と一体に調査を行なう。
⑦第3者機関が実施する調査の費用は国の補助金、医療関係団体等の負担金、申請した医療機関あるいは遺族による一定負担でまかなう。(遺族の負担には反対の意見もある)

 厚労省は、パブコメを経ずに臨時国会に提出する医療法等改正法案に医療事故調査の枠組みを盛り込む考えだ。
 法案化と並行して、第3者機関設立に向け、関係者との協議を始める。医療安全調査機構と医療機能評価機構の一部統合もしくは評価機構による調査機構の吸収が想定されている。
 さらに、調査の手順等をまとめたガイドライン策定に関する医療関係者を交えた検討会を設置する。改正法当該条項の施行は、第3者機関設置とガイドラインの普及を経た後となるため、2015年度以降となる見込みだ。
 法案が成立すれば、医療事故調の検討を開始した2007年4月以来7年越しの議論にピリオドを打つ。
 かつての医療安全調査委員会設置法大綱案は医療界を2分した議論に陥れたあげく、法制化が見送られた。
 今回は、四病協と日病協が提唱する「原因究明・再発防止と責任追及を分けて論じる」という理念が支持された結果、医療関係者の意見が一本化され、まさに、医療界の自律性を重んじた、医療界主導の制度設計が実現した。
 検討部会に臨んだ全日病の飯田常任理事(練馬総合病院理事長)は、「私自身、この案には6~7割の賛成にとどまる。仲間の意見も大方そうだ。それでも制度化を急がなければならない。(不満はあるが)とりまとめに賛成する」と述べ、大局的見地から賛成した。