全日病ニュース

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国民会議の議論に対する意見案をまとめる

国民会議の議論に対する意見案をまとめる

【医療保険部会】
賛否含む意見を列記。保険制度中心で提供体制の意見はわずか

 

 社会保障審議会の医療保険部会は5月27日の会合で、事務局(厚労省保険局総務課)が示した社会保障制度改革国民会議の議論に対する同部会の意見を了承した。
 意見書には、3回にわたる議論で示された各委員の発言が、集約されることなく列記されており、文面の最終判断を遠藤部会長(学習院大学教授)に委ねた。意見は「社会保障審議医療保険部会における主な議論」と題し、5月29日に公表された。
 医療保険部会には国民会議の議論が総論中心で具体策に欠けるという不満が強く、「相当程度偏った狭い幅の中での議論にすぎない」「真髄をついた議論をしてほしい」などの辛らつな表現も交えた、部会の気分を色濃く映し出す意見書となった。
 意見書は、まずは、逼迫する医療保険財政の解決策や負担構造など高齢者医療のあり方が十分論じられることなく、議論が「後期高齢者支援金の在り方と国保の保険者をどうするかということに絞られて」いる点を、「2025年まで皆保険制度の持続性をどうやって担保するかというビジョンがほしい」と批判した。
 国保の保険者を都道府県にするという案に関しては、そういう「局所的な議論のまま、医療、介護に関する議論が一巡したと整理されたことは極めて残念」と批判する一方で、そうした「方向性を打ち出した点は高く評価する」という意見も並べた。
 消費税引上げ分については、「被用者保険の窮状に何ら手当することになってない」と不満を表明、保険財源に投入するよう注文をつけた。
 療養の範囲に関しては、「根本的、抜本的な見直しが必要」という意見と「国民が給付を受けている保険の範囲を外していくという議論には強く反対」とを併記した。
 診療報酬か補助金かの問題については、「診療報酬がメインで補助金はサブとすべき」もしくは「(両者の)最適な組み合わせを考えていくべき」とし、国民会議で提案されている消費税を投入した基金方式に否定的な見解を表わした。「保険医療機関の指定・取消権限の都道府県への付与」や「地域ごとの診療報酬」に関しては反対意見を並べた。「外来受診の定額自己負担」には賛否両方の意見を併記、フリーアクセスを一定程度抑制することには理解を示す意見を明記した。
 在宅医療に関しては「在宅療養後方病院を地域ごとに作る」案を盛り込んだ。