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西澤会長 「初・再診料の議論は中小病院も対象となる」

西澤会長 「初・再診料の議論は中小病院も対象となる」

中医協総会 主治医機能と初・再診料について議論

 

 6月12日の中医協総会は、外来医療のあり方をめぐって2回目の総論的議論を行なった。
 事務局(厚労省保険局医療課)があげた検討テーマは「主治医機能の強化」と「診療所の機能と初・再診料」。
 外来医療に関して、事務局は、「複数の慢性疾患を持つ患者に適切な医療の提供を図りつつ、外来の機能分化をさらに推進する」という視点が次期改定の大きな課題である旨を、1回目の議論(1月23日)で論点にかかげている。
 この日の議論で、事務局は、「主治医機能の強化」に関して、「中小病院と診療所の主治医機能を持った医師が、適切な専門医療機関等と連携することにより、複数の慢性疾患をもつ患者に継続的・全人的な医療を行なうことを総合的に評価することをどのように考えるか」と問題提起した。
 一方、「診療所の機能と初・再診料」については、2010年度改定で再診料が病診統一された経緯に触れた上で、「診療所の機能を勘案した上で、その外来機能の評価をどのように考えるか」と論点に示し、「主治医機能の強化」に伴ない、14年度改定で診療所の初・再診料のあり方を検討する方針を打ち出した。
 「複数の慢性疾患をもつ患者に継続的・全人的な医療を行なうことを総合的に評価する」という考えは、08年の後期高齢者医療制度創設で導入された後期高齢者診療料と同じ発想である。後期高齢者医療制度は75歳以上という“年齢差別”を主たる理由に10年の改定で廃止され、後期高齢者診療料もなくなった。
 複数疾患をもち複数の医療機関受診を繰り返す患者に担当医を定め、計画的な医学管理の下に診療を行なう包括払いを、「主治医機能の強化」という視点で、年齢に関係なく導入してはどうかというのが今回の問題提起である。
 専門医制度に総合診療医が設けられることもあり、総合診療の評価のあり方を考える必要があるのは確かで、それを通じて、病院外来と診療所の機能分化とともに診療所自体の機能分化のあり方が整理される可能性がある。
 議論で診療側の委員からは「主治医機能を議論することは大切」と、問題提起を歓迎する発言が相次いだ。
 「在支診・在支病以外にも在宅医療を担っている診療所や中小病院を評価していくことは重要」という指摘もなされた。
 支払側からも、「後期高齢者診療料」のような包括払いを想定した、議論を歓迎する旨の意見が出た。生活習慣病を対象に、各種加算も取り込んだ包括化というイメージもあげられた。その中で、白川委員(健保連)は「一度診療所の機能を整理してはどうか」とも提起した。
 「主治医機能の強化」は、診療所だけでなく中小病院も対象にした論点として提起されているが、初再診料に関して、事務局があげた論点は診療所に限られている。
 この不合理さについて、診療側の西澤委員(全日病会長)は、「主治医機能が診療所と中小病院のテーマであるなら、それと関連した初再診料のあり方も診療所と中小病院がともに対象となるべきではないか。今後の議論で、再診料を引き上げるという話が出るとしたら、当然に、中小病院も含めた話であると考えたい」と発言、事務局とともに支払・診療両側の委員に対しても、そうした視点があることを喚起した。