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ホーム全日病ニュース第804回/2013年7月1日号在宅介護の推進には病院の支援が重要...

在宅介護の推進には病院の支援が重要-全日病が調査研究報告

在宅介護の推進には病院の支援が重要-全日病が調査研究報告

在宅支援の情報共有実態を踏まえ、情報システム構築へ提言

 

 全日病が2012年度老人保健健康増進等事業として厚労省から受託した調査研究が、事業検討委員会(木下毅委員長)の手で報告書にまとめられた。在宅療養支援における医療・介護の情報共有の実態を踏まえ、地域包括的な情報システム構築に向けた提言が示されている。
 報告書の題名は「医療機関と連携した在宅療養支援における情報提供・情報共有の実態把握及び地域包括的な情報システムのあり方の調査研究」というもので、病院、診療所、介護老人保健施設、訪問看護、訪問介護、訪問リハ、通所介護、通所リハの各施設・事業所2,820ヵ所に調査票を送り、25%から回答を得た。
 全日病は、また、2013年度の同事業に4 件応募したが、このほど、そのうちの3件の採択が決まった。その内訳は「医療ニーズを有する高齢者の実態に関する横断的な調査研究」「BPSDの増悪により精神科病院への入院を要する認知症患者の状態像の分類モデル及び退院後の在宅療養支援に関する調査研究」「諸外国における認知症治療の場としての病院と在宅認知症施策に関する国際比較研究」と、3題中2題が認知症に関する調査研究となっている。

 

在宅療養支援における情報共有等に関する調査研究報告の要旨

 「地域」について、病院では2次医療圏と捉える回答が最多であったが、市町村(1次医療圏)とする回答も同程度あった。病院以外では市町村と捉える回答が最も多い。
 居宅サービス事業所が急変時の受入先医療機関として「非常に重要である」と回答した施設は「かかりつけ医がいる医療機関」73.4%、「救急医療機関」62.0% と、いずれも重視されていることが確認できた。
 また、地域における一般病床の存在を「重要である」と回答した居宅サービス事業所が7割程と高く、急変時受入先として想定されていることが分かったが、医療療養病床や介護療養病床も4~6割を占めており、地域によっては一定の役割が期待されている。
 情報提供・共有する主な機関と相手の職種は「病院・医師」「居宅介護支援事業所・ケアマネジャー」であったが、在宅平常時に情報を交わすのは「居宅介護支援事業所・ケアマネジャー」で、在宅急変時に「病院・医師」の割合が増加することが分かった。
 「自由回答」をみると、居宅サービス事業所から多くあげられたのが「医師との連絡が困難」であり、情報を交わす頻度が高い「居宅介護支援事業所・ケアマネジャー」と「病院・医師」との連携を強化する必要がある。
 情報システム構築にあたっては、現状では主な伝達手段が電話であること、平常時や急変時等の場面と相手によって伝達内容が異なっていることを踏まえ、情報システムの伝達手段以外の利用価値を具体的に提示することが必要であり、現場で有効活用されるためには、医療・介護の従事者が情報システムをどの場面でどのように利用すればよいかを理解していなければならない。