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ホーム全日病ニュース第804回/2013年7月1日号在宅医療と地域包括ケアを担う中小病院...

在宅医療と地域包括ケアを担う中小病院-西澤執行部が強調

在宅医療と地域包括ケアを担う中小病院 - 西澤執行部が強調

地域包括ケアの核となる地域一般病棟―具体化と深化に取り組む

 

第1回支部長・副支部長会議の主な質疑応答 6月22日

1面記事を参照

陣内重三福岡県支部長 全日病として、地域包括ケアを担っていくのは我々中小病院であるという主張を強く出してほしい。
西澤会長 地域包括ケアを中心的に担うのは中小病院である。そのことをどう主張すべきか、全日病として検討を進めている。現在、一体改革の中で機能分化について議論されており、今のところ、急性期、亜急性期、回復期、慢性期等という方向で議論が進んでいる。その亜急性期に、我々の一つの役割があるのではないかと考える。我々は地域一般病棟を提言、これが地域包括ケアの核になると主張してきた。現在、その具体化と深化に努めているが、これを担うのは中小病院であり、これを通して、地域における中小病院の役割を明確にしていきたい。
 在宅医療も、診療所とともに中小病院が担い手であると考える。その中でどのような機能を担うのかについても、ただ今検討を重ねている。この点をより具体的に明らかにしようということで、全日病にプライマリケアのプロジェクトチームを立ち上げた。
 PTは、在宅医療と介護の担いかつ支援するのは中小病院であり、それを積極的に推進すべきであること、同時に認知症にも対応していくこと、そうした取り組みを会員病院は行なっていくべきことを明確にし、それを社会にアピールし、具体的な活動を進める、という方針を確認している。
 入院医療や在宅に関する議論は、医政局の検討会や保険局の中医協総会や分科会で行なわれているが、これらには全日病の役員が参加している。こうした場で、今お話したような我々の見解を主張してきたが、今後も、さらに強くかつ積極的に訴えてまいりたい。

松本文六大分県副支部長(文書発言) 第1回支部長・副支部長会議でTPPと消費税に関する声明を公表してほしい。また、大病院中心の厚生行政に強く反論してもらいたい。
西澤会長 声明を出すか否かはこの会議でご協議いただきたい。TPPに関しては、政府からの求めもあり、日医と四病協が意見書を出すことになっている。四病協として出すか、各団体で出すか、ただ今協議しているところである。仮に共同見解が無理であれば、個別に意見書を出すことになる。全日病も検討を進めているところだが、ご意見があれば、ぜひうかがい、参考にさせていただきたい。
 「大病院中心の行政に強く反論すべし」という点は、まさにおっしゃる通りである。これからの少子高齢化に向けてしっかりした提供体制を構築していかなければならないが、その中で中小病院が担う役割はきわめて重要なものがある。この点は、先ほど陣内福岡県支部長にお答えしたように、しっかりとした対応をしてまいりたい。

大島正親佐賀県副支部長 消費税が8%に引き上げられるときには医療への課税を実現してほしい。これがムリな場合は、10%のときに消費税課税とすることを強く主張、かつ、国民の理解が得られるよう努めていただきたい。また、入院基本料を引き上げていただきたい。かつては増点となったときもあったが、その後は加算が新設されるのみで、それも4~5年もすると廃止され、不安定な病院運営を強いられている。
西澤会長 消費税は来年4月に8%となるが、非課税は継続される。我々は10%のときには課税とするよう強く訴えているが、これは政治の問題でもあり、皆さんにもより一層の協力をたまわりたい。最近は、課税の下でも還付可能という話を聞く。本当にそれができるのか。万一、非課税を認め、我々の思うとおりの還付にならなかった場合に、非課税を認めた事実のみが一人歩きをすることはないのか。私は課税の旗を掲げてまいりたい。
 昨日の中医協・消費税分科会は、8%時の対応として高額投資別枠方式を見送ることで合意した。したがって、今までとおり診療報酬に上乗せ対応することになる。その方法として、①基本診療料に上乗せする、②一定項目に上乗せする、③1点単価で調整するという3案が示されたが、私は、まだ考え方を決めていない。どの方法を採っても公平に補填するということはできない。できるだけ不公平さを小さくすること、課税になったときにリカバリーしやすいこと、この2つを基準に、皆さんや病院団体の意見も聞いて方針を定めたいと思っている。
 入院基本料に関してはそのあり方を検討することになっているが、それを行なう基本小委が開かれない。入院基本料こそ病院経営の柱であり、この性格をしっかりと定め、適正なコストを反映したものにしなければならない。これはすぐにはできないが、例え時間をかけてもその方向で取り組んでまいりたい。

猪口副会長 先日の社保審医療部会に臨時国会に出す医療法改正案が示された。どのような改正になるのか、説明願いたい。
西澤会長 まず、医療機関の病床機能情報を都道府県に報告する制度がある。当初、医療法に急性期病床群という類型を書き込む案が出たが、これは我々の反対で消えた。今回法改正にあがったのは、各病院が自分の判断で病棟の機能を報告という制度である。それにもとづいて都道府県が各地域の医療資源を機能分布というかたちで把握、それを基に地域医療のビジョンを2015年度後半に策定するというものである。
 報告対象となる機能は、現在、急性期、亜急性期、回復期、慢性期等が検討されている。例えば、急性期であれば「主として急性期疾患の患者が入院している」といったように、判断基準は緩やかなものとなろう。次に、医療計画で5疾病5事業と同格とされた在宅医療を医療法に位置づける。チーム医療としては、包括的指示の下で特定行為ができる看護師の研修受講義務と登録制度を保助看法に書き込む。そして医療事故調査制度の創設がある。医療法人制度の改革も出ているが、これはまだ具体的ではなく、今秋の臨時国会には出てこないのではないか。

斉藤隆景新潟県支部長 我が県の知事は国保の都道府県化に反対を表明した。全日病はどう考えているか。
西澤会長 本会はまだ検討にいたっていない。個人的見解であるが、財政面からは保険者に一定の規模が必要と考える。しかし、行政機構である自治体が保険者になることには反対する。行政と保険者の一体化になると、ある種、措置制度になってしまうからだ。県単位にすることはよいが、保険者とは別の組織となることが望ましいと考える。全日病としても検討の機会をもち、まとまったら見解を発表したい。