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ホーム全日病ニュース第804回/2013年7月1日号看護必要度の項目変更で一致。...

看護必要度の項目変更で一致。看護配置と比例する項目を採用

看護必要度の項目変更で一致。
看護配置と比例する項目を採用

【入院医療等の調査・評価分科会】
療養病棟に転換した特殊疾患病棟等の経過措置は来年3月末廃止で合意

 

 6月13日の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」は、「入院医療等における一般病棟、療養病棟等に関する長期入院等の実態調査」(2012年度実施)の結果を基に、(1)重症度・看護必要度の評価項目、(2)療養病棟に転換した特殊疾患病棟等の経過措置、について検討した。
 (1)に関して、事務局(厚労省保険局医療課)は現行評価項目の得点分布が必ずしも看護配置と比例していないことを指摘、そのあり方の見直しを提起した。見直しを支持する意見が大勢を占めたが、どんな項目を採用するかにまではいたらず、引き続く議論となった。
 (2)の経過措置とは、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料、障害者施設等入院基本料の各算定病棟が療養病棟に移行する場合などに適用している「医療区分を3または2とみなす」という措置のこと。実態調査によると利用状況はごくわずかであることから、事務局は、経過措置を14年3月末で廃止することを提案した。
 これに3人の委員が賛成したほか、特段の反対意見はなく、廃止する方向で議論を終えた。
 この日の分科会は、主に、重症度・看護必要度(以下「看護必要度」)の見直しの是非について議論。事務局は、14年改定で7対1要件の厳格化を図る上で重要な因子となる看護必要度に関して、A項目とB項目とも項目を整理・追加する必要性を提起した。
 看護必要度は、一般病棟における一定以上の処置(9項目=A項目)や看護(7項目=B項目)が必要な患者の割合を示すツールで、7対1入院基本料、看護必要度加算(10対1)、急性期看護補助体制加算の各算定要件に、基準に該当する患者割合(A項目2点かつB項目3点以上の患者が15%以上。急性期看護補助体制加算は10%以上)が使われている。
 しかし、調査結果から、入院基本料別の基準該当者割合が一番高いのは15対1(約18%)で、必ずしも7対1が最も高いという実態にはなっていないことが分かった。
 しかも、A項目の該当率を7対1と療養病棟入院基本料で比べると概ね7対1の方が高いものの、「時間尿測定」「呼吸ケア」は療養病棟の方が該当率が高いことも判明した。
 ただし、今回調査用に追加したA項目(厚生労働科研で検討された項目)で該当率を比べると、多くの項目で7対1の方が該当率が高くなるように、項目を入れ替えると看護配置に比例するという結果になった。
 B項目は、全体として、7対1よりも療養病棟の方が該当率が高かったが、今回調査用にB項目に追加した項目(前出)でみると、やはり、多くの項目で7対1の方が該当率が高いという結果となった。
 一方、これら評価項目間の相関係数をみると、A項目では3つの項目の間に相関性があることが、B項目はすべての項目にきわめて高い相関があることが判明した。
 こうしたことから、事務局は、まず、Aの5項目のうち、相関性がある3項目を1つに絞ることを、また、Bの項目に関しても一定の整理を行なうことを提案した。
 その上で、「今回の調査結果を踏まえ、現在の一般病棟用の重症度・看護必要度の評価項目についてどのように考えるか」とし、A項目、B項目ともに項目の整理と追加を検討する必要性を提起した。
 多くの委員は現行項目の見直しを基本的に支持し、大幅な入れ替えを求める意見が大勢を占めた。中には、15%以上という7対1の現行要件の見直しを求める声もあった。
 その一方、一部の委員から、療養病棟における該当率が比較的高いことなどを根拠に、「療養病棟も医療区分を止め、看護必要度のように、どの病床にも適用できる新たな基準を用いて評価してはどうか」という考え方が示された。
 これに対しては、急性期と慢性期を同様の看護必要度で測ることへの疑問が相次いだが、看護必要度は7対1要件の見直しにとどまらず、亜急性期を含めた病床機能の分化・再編を進める上で重要なツールとなる可能性もある。
 議論の中で、安藤委員(日病副会長)は「看護必要度の見直しについては病院団体に持ち帰って判断したい」と述べ、慎重に検討する姿勢を示した。