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栄養管理実施加算の包括化 病院と有床診で対応を分けることで概ね合意

栄養管理実施加算の包括化
病院と有床診で対応を分けることで概ね合意

【入院医療等の調査・評価分科会】
病院は13年度末で経過措置を終え、有床診は14年改定で元に戻す方向

 

 6月20日の中医協・診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」は入院基本料等加算の評価をテーマに取り上げ、(1)前改定で入院基本料等に包括した栄養管理実施加算の取り扱い、(2)同褥瘡患者管理加算の取り扱い、(3)算定回数の少ない加算項目の取り扱いについて議論した。
 このうち、栄養管理実施加算は2012年改定で入院基本料等の算定要件に組み込まれ、病院には管理栄養士の常勤配置を、有床診には管理栄養士の非常勤配置を必須とした上で、前改定前まで栄養管理実施加算を算定していなかった医療機関には「管理栄養士を配置していなくても14年3月末までは包括化した入院基本料等を算定できる」という措置を図っている。
 また、前改定前に栄養管理実施加算を算定していた医療機関に対しても、離職等管理栄養士が勤務できなくなった場合の措置として、「厚生局に届出を行なうことで3ヵ月は包括した入院基本料等を算定できる」という措置を認めている。
 褥瘡患者管理加算に関しては、旧褥瘡患者管理加算の要件から専任看護師にかかる「5年以上の経験」部分を排除する一方、新たに「褥瘡対策チームのメンバー等による委員会の定期開催」を要件に加えた上で、入院基本料等の算定要件とされた。
 この日の分科会に、事務局(厚労省保険局医療課)は両加算の包括化にかかわる実態調査の結果を報告、今後の取り扱いを検討課題にあげて、検討を求めた。
 12年度の改定検証調査と入院医療等の調査によると、14年3月末までの経過措置の対象となる「前改定前まで栄養管理実施加算を算定していなかった医療機関」は、病院は1割未満に過ぎないが、有床診では9割近くに及んでいる。しかも、該当有床診には、耳鼻咽喉科や小児科など「該当する患者がいない」とした施設の割合が少なくない上、12年9月時点で「管理栄養士が常勤・非常勤ともにいない」と回答した有床診が7割近くにのぼっている。
 こうした実情を踏まえ、この日の分科会は、2014年度改定では、①栄養管理実施加算包括化の取り扱いを病院と有床診で分け、②有床診に関しては同加算を入院基本料等から分離して元に戻す、③病院に関しては経過措置を既定どおり14年3月末で終える、という方向で調査結果の評価をまとめることで概ね合意した。
 褥瘡患者管理加算に関しては議論が十分深まらず、事務局は次回再度検討するとしているが、この日の議論は、入院基本料等への包括化の継続をほぼ容認するものとなった。
 また、「算定回数の少ない加算項目」のテーマも十分な議論が展開されなかったが、事務局が論点として示した「算定率が低い入院基本料等加算の包括化・廃止については慎重に対応することとし、評価を継続することとしてはどうか」という方向を肯定する意見が相次いだ。
 分科会後のブリーフィングで、事務局は「診療報酬点数表の簡素化は重要な課題ではあるが、評価項目の改廃などによっても可能であり、入院基本料等加算の包括化は必ずしも優先的テーマになるとは限らない」と述べ、14年度改定では論点とはならない可能性を示唆した。
 分科会は今後、褥瘡問題や「医療提供体制が十分ではなく医療機関の機能分化を進めることが困難な地域に配慮した評価」などの検討を行ない、再び、方向性が打ち出せていない論点を中心に2巡目の議論を進め、8月をめどに、中医協総会に報告を提出する方針だ。
 その後も、現在実施中の13年度調査結果の分析評価を控えており、すべての報告がまとまるのは10月になると見込まれるため、14年度改定は、課題の多さに比べると時間的には例年以上にタイトになるとみられる。