全日病ニュース
制度設計議論を休止、医療事故調査制度を見守ることで合意
制度設計議論を休止、
医療事故調査制度を見守ることで合意
【無過失補償制度等のあり方検討会】
補償財源の規模等予測できる統計欠如などが理由
医療事故調査制度の枠組みが決まったことを受けて、6月21日に1年半ぶりに再開された「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」は、(1)医療全域にわたる無過失補償の枠組みを設計する上で必要な統計データがない、(2)したがって補償財源等の予測を立てることができないことなどの理由から、同制度の設計議論をいったん見送り、新たに始まる医療事故調査制度の動向を見守ることで概ね合意、同検討会を休止することを確認した。
無過失補償制度設計議論の先送りを提案したのは事務局(厚労省医政局総務課医療安全推進室)。
制度設計の議論を進める上の基本的論点として、①補償範囲の明確化をどうするか、②制度の掛金等の負担を医療機関と患者に求めることは可能か、③過失・無過失の認定をどう行なうかという点をあげた上で、「以上に掲げる無過失補償制度の論点を踏まえると、当面、新たな医療事故調査制度の実施状況等を十分に見極めた上で、無過失補償制度について考えることが必要ではないか」と指摘、議論の休止を提案した。
先送りやむなしという意見は医療側だけでなく、患者側の構成員からも示され、一部に反対意見はあったが、全体として事務局提案を了承した。
構成員である飯田修平氏(練馬総合病院理事長・全日病常任理事)は、先行実施されている産科補償制度を例にあげ、「産科補償制度は既存のデータを参考に踏み切ったものの、統計データが過小であったため、結果として(補償額の見積り等は)当たらなかった。真に機能する無過失補償制度をつくるのならば、必要なデータをきちんと確保しなければならない。つまり、財源の確保とどれだけのデータがあるかということを確認しないと制度の枠組みはつくれない」と述べ、設計議論の休止に賛成した。