全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース第808回/2013年9月1日号「機能分化は段階的に進める必要がある」...

「機能分化は段階的に進める必要がある」

「機能分化は段階的に進める必要がある」

「機能分化は段階的に進める必要がある」

【医療部会】
「次期改定における一体改革関連の基本的な考え方」に明記

 

 8月9日に開催された社会保障審議会医療部会は、「次回の診療報酬改定に向けた検討について」2回目の議論を行なった。
 出席した厚労省保険局の宇都宮医療課長は、「これまでの社会保障審議会医療保険部会・医療部会における議論を整理したもの」と断った上で、「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について(案)」と題した文書を提示した。
 これは、同じ社保審の医療保険部会と医療部会における、一体改革に関連した診療報酬に関する議論の内容を整理したもの。宇都宮課長は「消費税や国民会議報告書など、政府部内で社会保障制度改革について検討する上で求められる資料である」と、文書の使途を説明した。
 つまり、消費税を投入する社会保障制度改革について、社保審では一体改革にそった議論がきちんとなされていることを証明する報告ということになる。
 ただし、一体改革関連に関連した議論は、医療部会では、同日までに、8月2日の1回しか行なわれてなく、その時も、資料説明が中心で、実質的な議論にはいたっていない。
 この数少ない議論状況を、前出「基本的な考え方」は、中医協で先行して議論されてきた論点等を織り込むことによって、あたかも充実した議論が行なわれているかのようにまとめている。
 その中に、「医療機関の機能分化・強化と連携に当たっては、性急な措置によって医療現場が混乱し、患者が必要な医療を受けられない事態が発生しないよう、急性期を脱した患者の受け皿となる病床を整備するとともに、退院した患者を支える在宅医療等を充実させながら、段階的に進める必要がある」という考え方、あるいは、「現在別途検討が行われている病床機能報告制度とできる限り整合性が図られるよう、留意しながら検討を進めるべきである」という認識が明記された。
 前段の「機能分化・強化と連携は段階的に進める必要がある」という考え方は、医療側にも納得できるもの。また、後段の病床機能報告制度に触れたくだりは、これまで医療課が示してきた診療報酬の論点ではほとんど触れられることのなかった問題意識であり、医療法改正と2014年改定の接点を示唆するものとして、注目される記述ではある。
 この日の議論で、相澤委員(日病副会長)は、「これまでの医療提供体制は生産年齢層を対象としてきた。そのニーズは確実に減っていく。
 急性期の中で残された機能の維持向上を図っていく慢性疾患患者のモデルを急いでつくる必要がある。これは、急性期後のベッドがいかに大切であるかということでもあり、そこには財政支援が欠かせないということでもある」と論じ、急性期とポスト急性期の病床との間に、高齢社会にみあった役割分担・連携のモデルを構築することを提唱した。
 一方、西澤委員(全日病会長)は、焦点となっている7対1を取り上げ、「7対1入院基本料の下では病棟で看護配置が異なる傾斜配分が行なわれている。7対1の実像を把握するのであれば、こうした病棟の実態を踏まえて調査・検討されなければならない。かつては看護師を増やせば高い点数が取れるというかたちで7対1が導入された。それに応じて頑張ってきたら、今度はダメという。これでは病院は長期的な経営ができない」と、葛藤する病院の立場を代弁した。
 その上で、一体改革の進め方に言及。「まずは、看護配置などを含めた長期的なビジョンを打ち出す。それを踏まえた上で、次の改定ではどこまで改革するかを示していかないと、病院は安心して経営できない」と論じ、機能分化を、長期政策の下で段階的に進める必要があると厚労省に進言した。

 

医療法改正は11月に報告書。通常国会に法案

 8月9日の医療部会で、医政局の土生総務課長は、第6次医療法改正にいたる手順と日程を明らかにした。
 それによると、医療法等改正一括法案は来年の通常国会に提出。それに向け、この11月をめどに報告のとりまとめを行なうとした。
 併せて、「医療法人間の合併や権利の移転等に関する制度見直し」について検討会を設置するとしている。