全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース第810回/2013年10月1日号医療を含む多分野の規制緩和を東京で先行、全国展開につなげる

医療を含む多分野の規制緩和を東京で先行、全国展開につなげる

 

医療を含む多分野の規制緩和を東京で先行、
全国展開につなげる

【経済財政諮問会議】
民間議員 アベノミクス「第4の矢」として「東京国家戦略特区構想」を提案

 

 9月13日の経済財政諮問会議で、下村文部科学大臣は、五輪の東京招致が決まった2020年に向けて、「国民総参加型」の社会課題を解決する国家プロジェクトを推し進めることを提案した。
 防災・減災のまちづくり、交通網・都市基盤の整備、地域活性化、観光立国などの課題をかかげ、規制改革や国家戦略特区など官民一体となった中長期プロジェクトを計画的に実施することによって雇用創出と経済再生をなしとげるというもの。
 提案について、下村大臣は、オールジャパンによる「2020ニッポン再生―夢ビジョンJAPAN(仮称)」と題した一大国家事業であると説明した。
 これに続いて、佐々木則夫氏(株式会社東芝取締役副会長)を初めとする4人の民間議員は、東京五輪をアベノミクス実現の「第4の矢」にすべきであると提唱した。
 東京五輪を成功に導く工程と経済政策を一体化するというもので、(1)施設整備事業へのPPP/PFI手法の活用、(2)国家戦略特区の最大限の活用、(3)国際競争力のある都市づくり、(4)「観光立国日本」実現の加速など9つの戦略的課題をあげて、政府と民間が一体となった中長期的な取り組みを提言。
 諮問会議の議論をベースに、国民参加による新たな成長メカニズムをもった中長期の経済財政政策方針を策定すべきであると論じた。
 この中で、民間議員は、「国家戦略特区を活用し、東京大会までに、東京をどう変え、日本をどう変えるか、戦略的に検討する必要がある」と提起。「医療、教育、都市計画等に係る規制改革を3~4年を目途に大胆に進め、オリンピックまで全国展開すべき」として、“オリンピック特区”構想を提唱した。
 東京を「国家戦略特区」に指定するという民間議員の提案は、医療を柱の1つに位置づけている。
 甘利内閣府特命担当大臣は、会議後の記者会見で民間議員の構想に言及。
 「新藤総務大臣の方で規制改革メニューの整理をしている。いろいろなメニューを総合的に組み合わせて、いくつかの戦略特区を作っていきたい」と述べ、政府として積極的に推し進める考えであることを明らかにした。

大阪府・市 医療への株式会社参入など「国家戦略特区」創設を提案

 大阪府と大阪市は「国家戦略特区」の創設を求め、9月11日に、プロジェクトの計画案を内閣官房に提出した。
 提案書は、①「国家戦略特区」プロジェクト提案、②国家戦略特区に関する提案の2つからなり、前者では「医療イノベーションを大阪から世界に発信する健康医療産業」の創出など、都市再開発、イノベーション、インフラ・人材の各分野における規制緩和・税制措置を講じるプロジェクトを提案。
 後者で4つの提案を行なっているが、そのうち医療にかかわる提案の要旨は以下のとおり。
◎最先端の医療サービスを提供する「国際メディカル特区」
(対象地域)関西国際空港及びりんくうタウン地域
1. 外国人医師による医療行為解禁、チーム医療実施のための外国人看護師などの受け入れ推進
2. 先進医療の推進・具体化のための混合診療の実施など
3. 高度医療を提供するため、内外から患者を受け入れる医療機関に対する病床規制の見直し
4. 株式会社による病院・診療所の参入拡大
◎公立病院の経営改革に資する先進医療の保険診療併用特区
(府内以下の医療機関に限定)
・大阪府立病院機構/大阪府立急性期・総合医療センター、大阪府立成人病センター、大阪府立母子保健総合医療センター(大阪府立呼吸器・アレルギーセンター)
・大阪市立総合医療センター
◆概要と必要な規制改革
先進医療の保険診療との併用を弾力的に可能とし、大阪府立病院と大阪市立病院で先進医療を患者に実施。もって、患者の負担軽減に寄与するとともに医業収益の増加による赤字縮小、経営改善を図る。