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ホーム全日病ニュース第810回/2013年10月1日号2014年度改定に向けたDPC/PDPSの「中間報告案」に疑問...

2014年度改定に向けたDPC / PDPSの「中間報告案」に疑問
Ⅲ群病院の細分化見送り― 特性・機能が異なる病院が同じ括りでよいか?

2014年度改定に向けたDPC / PDPSの「中間報告案」に疑問
Ⅲ群病院の細分化見送り― 特性・機能が異なる病院が同じ括りでよいか?

DPC病院の在宅機能評価を否定―在宅急変対応を「急性期」とする医政局検討会と異なる見解に疑問

 

診療報酬調査専門組織DPC評価分科会委員     
常任理事病院のあり方に関する委員会委員 美原 盤 

 9月25日のDPC評価分科会で取りまとめられた「中間報告(案)」に記された内容のうち、特に全日病の多くの会員病院に対して影響が大きいと考えられる内容について、個人的な見解を述べたい。
 まず、基礎係数に関して、Ⅲ群病院の細分化は行わないことが明記された。
 1,326施設あるⅢ群病院(全DPC病院の89%)には多様な病院が含まれ、各々が担っている役割あるいは効率性や複雑性などのパフォーマンスに大きなバリアンスがあるものの、これらについて次期診療報酬改定では考慮しないということである。
 「これ以上細分化すると現場が混乱する」「バリアンスは機能評価係数によって評価していくべき」等がその理由であるが、将来的には引き続き充分な検討がなされるべきである。
 実際に、昨年度の当院実績では、医療機関別係数に占める割合は基礎係数が73%、暫定調整係数が11%、機能評価係数Ⅰ(ストラクチャーの評価)が14%、そして機能評価係数Ⅱ(パフォーマンスの評価-当該年度の当院数値は全対象病院中最高)はわずか2%でしかなかった。
 さらに、将来的に暫定調整係数が全て機能評価係数Ⅱに置き換わったとしても、機能評価係数Ⅰと同程度にしかならず、基礎係数の1/5にも満たない。
 DPC病院の平均値(入院収益6.4億円/月・349床=第18回医療経済実態調査)をベースに、ざっと試算してみると、機能評価係数ⅡがⅢ群の平均値(0.0212)から最高値(0.0376)になった場合の増収額は+5,400万円/年、基礎係数がⅢ群(1.0418)からⅡ群(1.0832)になった場合は+1.4億円/年であった。
 つまり、いかに自院のパフォーマンスを上げる努力をしても、基礎係数の影響には到底及ばないのである。
 総合と単科、都市部と過疎地、500床以上と100床未満、救急中心で高密度短期集中の病院と高齢者や慢性期の急性増悪にじっくり対応する病院とが、「類似した機能の病院群」として一括りにされることには違和感を覚えざるを得ない。
 また、機能評価係数Ⅱの項目の一つである地域医療指数の中で、在宅医療の評価は見送る方向性が示された。
 病院機能分化が推進される中で、急性期医療を対象とするDPC病院における在宅機能を評価することが適切かという疑問に基づくものである。
 一方、「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」(以後検討会)では、所謂ポストアキュート、サブアキュートの在宅患者の急性期対応は「急性期」病棟が担うものとしている。すなわち、DPC評価分科会では在宅医療は急性期医療ではなく、検討会では急性期医療に位置づけているという矛盾が生じている。
 個人的には、急性期とポストアキュート、サブアキュートは異なる機能と捉えるべきと考えている。在宅医療を機能評価係数Ⅱに加えるか否かは別として、国民の視点に立てば極めて重要な機能であり、適切に評価されるべきと思われる。