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選択療養制度(仮称):規制改革会議 構想を一部手直し。反対意見を考慮、手続き要件を厳格化

選択療養制度(仮称)
規制改革会議 
構想を一部手直し。反対意見を考慮、手続き要件を厳格化

田村厚労大臣は現行制度枠内で対応する立場を堅持。安倍首相は併用制度見直しを指示

 

 規制改革会議は4月16日の会合で「選択療養制度(仮称)」の構想に一部手直しを加えた案をまとめた。
 3月27日の同会議で創設を提唱した「選択療養制度」は、医師と患者が診療契約書を交わすことによって保険診療と保険外診療の併用ができるというもので、「論点整理」というかたちで、その乱用を防止するための手続きとルールの案が示された。
 今回、「論点整理②」と題して示された修正案の骨子は以下のとおり。
 1. 無用な診療(合理的な根拠が疑わしい医療)等を除外するために、次のいずれかに当てはまる治療等は対象としない。
 (1)次に掲げるいずれの要件も満たさない治療等①国際的に認められたガイドラインに掲載されている②一定レベルの学術誌に掲載された査読された2編以上の論文がある③倫理審査委員会の承認を得ている(2)最初からもっぱら保険外診療が目的である場合(3)代替できる保険診療の受診を経ずに保険外診療が選ばれる場合2. 安全性・有効性の確認、患者への不利益の有無、併用による保険診療を損う可能性について、次の仕組みで、判断を専門家に仰ぐ。
 (1)事前に作成した診療計画、前出1-(1)のいずれかを満たすことを証明するエビデンス、医師の説明を納得した患者が併用の選択を文書で認める「選択書面」の3点を添付して、「全国統一的な中立の専門家による評価」を受ける(2)「専門家による評価」の結果を患者に情報提供するこれらの修正は、3月27日の構想に、医療団体や保険者だけでなく患者団体からも批判と懸念が寄せられたためで、手続き要件を厳格化することによって、なし崩し的に混合診療に向かう可能性を否定してみせたものと思われる。
 規制改革会議の岡議長(住友商事相談役)は、同会議後に開かれた経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議に修正案を含む「選択療養制度」の創設構想を報告。「年央に取りまとめる規制改革に関する答申に提案を盛り込みたい」と発言、実現へ意欲を表わした。
 一方、田村厚労大臣は、「保険外併用療養については今いろいろ調整しているが、いずれにしても、必要としている患者がなるべく早く保険外併用療養の中でアクセスできるよう、さらに詰めていきたい」と発言、基本的には現行制度の枠内で対応するという立場を堅持した。
 合同会議の最後に、安倍首相は、「保険外併用療養費制度の仕組みを大きく変える制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてもらいたい」と指示した。
 規制改革会議は4月23日の会合で、前出の手続き要件を補正した「選択療養制度」創設構想をあらためて確認。さらに、「選択療養への懸念に応える」と題したQ&Aをまとめた。
 この会合で、厚労省は、修正案を含む「選択療養制度」案に対する検討結果を示した。
 その中で、(1)「論点整理②」の1 で求めている安全性・有効性のエビデンスは現行の評価療養とほぼ同じである、(2)「論点整理②」の1 のエビデンスがあり、安全性・有効性が確認されたものであれば、直ちに評価療養に進むべきではないか、(3)実施計画に基づかない個別のデータを集めても治験等の次のステップへ進むために必要な安全性・有効性の判断は困難であるなどの疑問を示し、「かえって開発ラグが大きくなる」と批判した。